著者のコラム一覧
桧山珠美コラムニスト

大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」に「今月のダラクシー賞」を長期連載中。

NO.1父親役選手権 惜しげもなく肉体披露の西田敏行に決定

公開日: 更新日:

テルヲロスの声も上がったトータス松本

 NHK朝ドラ「おちょやん」の困り者、テルヲがようやくこの世を去った。杉咲花演じるヒロイン千代のお父ちゃんで、子供の頃から、散々千代に迷惑をかけまくり、後妻の言いなりになって娘を奉公に出し、その後も久々に現れたかと思えば借金のかたに娘を売り飛ばそうとしたり、娘のお金を盗もうとしたり、とんでもない父親だった。

 あまりのクズ父っぷりに、「朝ドラ史上最低の父親」と言われ、演じたトータス松本本人にまで「クズ」疑惑が及ぶ始末に。「あさイチ」にトータスが出演した際、母親が「ほんまはあんな子じゃない」と火消しに回ったというから笑える。

 最後の留置場で千代に「堪忍してくれ……、堪忍やで堪忍やで」と泣きながらわびるシーンでは涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃ。漫画でしか見たことのないような鼻水、出そうと思っても出せるもんじゃない。テルヲが乗り移ったような名演技に全日本が泣いた。ネットでは「テルヲロス」とともに「自業自得」の声も上がったが……。

 というわけで、2021年冬ドラ、「ナンバーワン父親選手権」を。

「青天を衝け」の対照的な小林薫と竹中直人

 まず、NHK大河「青天を衝け」では吉沢亮演じる主人公・渋沢栄一の父・市郎右衛門を演じる小林薫。実直な農民として、その背中を見せて人生を教えるタイプ。そして草彅剛演じる徳川慶喜の父・斉昭を演じる竹中直人。「烈公」と呼ばれる気性の激しさ、暑苦しさMAXで、画面からくる圧が凄い。ドラマは動の栄一と静の慶喜を対比するように描かれているが、お互いの父親が反対なのが興味深い。

笑って泣けて魂を揺さぶられる西田敏行

 父と息子なら「俺の家の話」(TBS系)の西田敏行長瀬智也もよかった。

 長瀬演じるピークを過ぎたプロレスラーが西田演じる能楽の人間国宝である父のために現役を引退する。「介護」がテーマだが、そこはクドカン脚本ということで笑って泣けて魂を揺さぶられる話になっている。

 長瀬が入浴介助シーンでは裸をさらしている西田に「池中玄太」も年取ったと感慨深くこみ上げてくるものがある。

 健康ランドのステージで歌った「マイ・ウェイ」は「もしもピアノが弾けたなら」を思い出した。

「監察医 朝顔」(フジテレビ系)で上野樹里演じる朝顔の父を演じた時任三郎もよかった。

 最終回、認知症を発症した父のために、朝顔が3・11に企画した子連れ結婚式のスピーチに涙が止まらなかった。

 2クール見てきてよかったと思うラストシーンだった。

「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」(日本テレビ系)で突然現れた浜辺美波演じる空の父・豊川悦司、「モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~」(テレビ朝日系)の小芝風花演じるモコミの父・田辺誠一も捨てがたいが、今回のナンバーワンは長瀬の最後の花道に、惜しげもなくその肉体(!?)をさらして花を添えた西田敏行に決定!

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