デンジャラス安田和博「ボキャブラ」バブル弾けて仕事激減

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デンジャラス安田和博さん(53歳)

 1990年代の「ボキャブラ天国」でブレークしたお笑いコンビ・デンジャラスのメンバーで、今は放送作家としても活動する安田和博さん。下積みからブレーク後の浮き沈み、そして作家への転身……。後輩の有吉弘行さんのラジオ番組ではアシスタント総選挙1位に輝いた話も語ってくれた。

 ◇  ◇  ◇

 高校を卒業して、郵便局で2年間働いていたので、その後、渡辺正行さん主宰の劇団七曜日に入ってしばらくは貯金で生活できたんです。蓄えがなくなって、バイトすることになり、相方(ノッチ)が「ガードマンは早くあがれる日もあるし、雨だと中止の時もあるから、割といいよ」と言うので、自分で探してガードマンを始めました。

 でも、工事現場の通行止めをしている道で、看板の前でぽつんと立っているだけで、暇すぎました(笑い)。今みたいにスマホがあるわけでもないから、時間を潰すのに苦労して。

 他のバイトも経験しながら、バイト後には新宿の中央公園で稽古。なぜその場所かというと、とんねるずさんの本に新宿の中央公園でネタの稽古をしていたことが書いてあったから。「ここで稽古したら売れるんじゃないか」と安易に考えて。結局は1年でやめましたけど。

 テレビに出始めても事務所をやめたので、すぐに仕事がなくなり、バイトはやめられず。今の事務所に入れたのが23か24歳の時かな。僕らまだ若くて「俺たちは絶対、面白い!」と自信があったから、「給料制でこのくらいくれなきゃ入らない」と事務所に条件を出したんです。強気な割に提示した金額が毎月18万円(笑い)。僕らにとっては芸能生活だけで18万円もらえるって、すごいことだったから。そしたら、あっさりOKが出た(笑い)。

■歩合制になって一気に月収5万円に!

 その直後、学園祭とかメチャクチャ回りましたよ。これなら歩合制にしてもらった方がよかった……と思いました。給料は上がりましたけど、そのうち仕事が減ってきたら事務所から歩合制になると言われ、最も少ない月だと5万円くらいになっちゃって。

「こりゃヤバイ」と焦って、事務所の人に、当時人気番組だった「ボキャブラ天国」に「出たい」と相談。芸人のコーナーばかりになる改編期のタイミングで、僕らを出られるようにしてくれました。これが大きかったですね! 冒頭の方で「ノッチです!」と言うフレーズもハマりましたし。

 おかげで営業もバンバン入り、歩合だから生活が劇的に変わりました。ボキャブラバブルって呼ばれてましたから、バブルははじけるもので、また仕事が減って。

有吉弘行の芸人アシスタントも

 放送作家を始めた経緯を手短にお話ししますと、先輩のダチョウ倶楽部さんがやってるラジオの収録に遊びに誘われたのが始まり。

 でも、ただスタジオの中で笑い屋的にしているだけじゃ情けないから、リスナーからのハガキコーナーに僕は内緒でペンネーム投稿し始めたんです。そしたら番組で何度も読まれ、スタジオや収録後の飲み会で「あのハガキ、僕のです」と何度か打ち明けると、ダチョウさんが僕に笑いを書く才能があると勘違いして(笑い)。リアクション芸のDVDを作る時に肥後(克広)さんに「作家で入ってくれないか」と誘われたんです。

 この仕事はすごく勉強になりました。だいたいのネタを肥後さんが考えるようで、何度も肥後さんとネタ作り。真ん中に水があって両方から綱引きをする設定なら、「どうやって水に落ちたらいいか」をすごく練る。最初は1対1にして次に人数を増やすとか、3人だと2人が小競り合いして1人が落ちるとか細かいパターンをつくる。ただ水に落ちてリアクションをとるだけじゃないと知りました。

 僕もアイデアを出して、その後もダチョウさん関連の番組に構成で入るようになり、構成作家になっていきました。僕が出したアイデアで笑いが生まれると、自分が演じる時とは違った喜びがありますね。

■有吉は後輩だけど現場では「有吉さん」と

 今やってる、後輩の有吉のラジオ「有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER」では月替わりで芸人アシスタントが代わり、年末に「アシスタント総選挙」が行われ、だいたい僕が毎年、投票で1位になれてます。

 僕は事前に何の話も用意しないし、打ち合わせもない。有吉が何を話すかもわからないから、聞き手としてその場で対応して。無理やり自分の話をネジ込むことはしない。他のアシスタントは有吉の後輩芸人だけど、僕だけ先輩だから、有吉もツッコミよりボケに回れる。それがたまたまリスナーにはいいのかな?(笑い)。僕は有吉とは竜兵会の飲み会で昔から一緒に飲んでいた仲ですしね。

 でも、その頃と違い、今はムチャクチャ売れてるので、呼び捨てにしたら、本人は気にしないけど周りに緊張が走る。だから、「有吉さん」て呼んでいて、これも笑いにつながってます。ラジオで向こうが「安田」と言ったら、「安田“さん”ね」と突っ込むようにしてますし(笑い)。今、放送作家と芸人を並行して何でもやりますので、よろしくです。

(聞き手=松野大介)

▽安田和博(やすだ・かずひろ)1967年11月、東京都出身。88年、ノッチとお笑いコンビ・デンジャラス結成。放送作家としても活動している。「有吉ベース」(フジテレビONE)、「有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER」(JFN)に出演。

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