<1>「テーマソングはバカバカしい歌詞がいい」

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「ボーイズ」というジャンルが演芸にある。3人以上の男性グループが、楽器を演奏しながら歌ったり寸劇を演じたりするのだ。東京ボーイズはその名の通り、代表するベテランだ。以前は3人だったが、リーダーの旭五郎が没後、菅六郎(77歳)と仲八郎(73歳)の2人で、歌謡漫才として寄席に出演している。ご両人にボーイズ芸の難しさや、懐かしい芸人たちの思い出を語ってもらった。まずはボーイズの成り立ちから伺おう。

昭和12年に川田義雄がリーダーの、あきれたぼういずが結成されたのが始まりだそうです。『川田節』といわれた美声で売れ、戦後に川田晴久と改名して、3人組のダイナ・ブラザーズと一緒に出てました。『地球の上に朝が来る。その裏側は夜だろう』というテーマソングが流行しました。その時のメンバーだった小島宏之さんがダイナ・ブラザーズを継承し、灘康次さんがモダンカンカンを結成したわけです」

「ボーイズはそれぞれが自分たちのテーマソングを持っていて、最初に歌うわけよ。東京ボーイズだと、『天気が良ければ晴れだろう。天気が悪けりゃ雨だろう。雨が降ろうと、風が吹こうと、東京ボーイズ、ほがらかに』というテーマソングをずっと歌ってる。『地球の上に朝が来る』にしてもそうだけど、バカバカしい歌詞がいいのよ」

菅「最初は師匠のカバン持ち」

 確かに、テーマソングを聴くと、これから面白いことが始まりそうな気がするものだ。

「僕らの師匠のシャンバローは、邦楽の世界からボーイズに転身した3人組で、異色でしたね」

 シャンバローというグループを覚えている方は少ないであろう。

 長唄三味線の柳四郎と唄の岡三郎、東邦音楽大学出身でアコーディオンの邦一郎の3人組である。

 菅は昭和40年に柳の弟子になった。

「最初は師匠のカバン持ちだったね。3人それぞれに弟子がいたから、師匠の荷物と楽器を持つ。芸の修業は三味線と長唄の稽古。俺は覚えが悪いんで、よく師匠に怒られた。それから歌謡曲を弾く練習をした。音譜は見ないで勘で弾いちゃう(笑い)。その頃からいい加減だったんだね」

 同年、アコーディオンの旭しげる、三味線の峰さかえと共に、菅ひさしの芸名で東京ボーイズを結成する。これが始まりだ。(つづく)

(聞き手・吉川潮)

■公演情報 11月17日(水)に「北とぴあ さくらホール」(東京都北区王子)で仲八郎プロデュース! 三遊亭好楽、マギー司郎ナイツら豪華ゲストが出演するバラエティーショー「ナカハチ・オン・タイム♯16」が開催。全席指定4000円(残りわずか)。

【連載】東京ボーイズ 大いに語る

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