吉高由里子「最愛」vs西島秀俊「真犯人フラグ」 よく似た考察サスペンスドラマの大きな違い

公開日: 更新日:

 秋ドラマも大詰め。世帯視聴率では「日本沈没」(TBS=日曜夜9時)と「ドクターⅩ」(テレビ朝日=木曜夜9時)がこれまで平均15%以上の高水準でトップ争いをしている。

「世帯視聴率では2ケタに届きませんが、恋愛ものやサスペンスなど、ドラマ好きにはジャンルに富んだシーズンでした。世帯視聴率が2ケタに届かなくても、各作品ごとに熱い視聴者がいます。特にサスペンスは“考察”で盛り上がっていますね」(テレビ誌編集者)

 今クールの“考察サスペンス”といえば、吉高由里子(33)主演の「最愛」(TBS=金曜夜10時)と、西島秀俊(50)主演の「真犯人フラグ」(日本テレビ=日曜夜10時30分)の2作だ。

 番組公式サイトを見ると「最愛」は〈“事件を追う刑事は、かつて心を通わせた最愛の人だった”完全オリジナルのサスペンスラブストーリー〉で、一方の「真犯人フラグ」は内容を短くまとめたキャッチコピー的なものはなく、〈この事件、あなたなら、どんな“物語”を想像しますか〉と視聴者に問いかけている。

ネット上では考察合戦

「最愛」は17日が最終回、「真犯人フラグ」は年をまたぐ2クールドラマだから単純に比較はできないが、どちらも各話放送直後から、ネット上で考察合戦が始まるというのは共通している。

 ただ、ネット上の考察以外の声を拾うと、「最愛」は〈吉高さん、松下(洸平)さんの演技が素晴らしい〉〈弟役の高橋文哉さんがいい〉などと演者に関するものや展開に関するものが多いのに対し、「真犯人フラグ」は〈回収できない伏線張りすぎ〉〈(同じスタッフ制作の)“あな番”のような終わらせ方なら毎回見なくてもいいか〉なんて“ツッコミ”もある。

「どちらもネット上の意見を含めて楽しんで見ています」というテレビコラムニストの亀井徳明氏は、「比較すること自体おかしいのですが」と前置きしてこう続ける。

「『最愛』はシンプルなタイトルで登場人物の行動の動機を最初から示しつつ、丁寧にストーリーを紡ぐ“作品性”を重視。『真犯人フラグ』はドラマとしての作品性よりも、〈こうすればネット民かつ視聴者は面白がるだろう〉と計算して、従来のドラマとは別ジャンルのエンターテインメントを目指しているように見えます。象徴的なのは、どちらも脇役で刑事が出ていて、いずれも毎回インパクトを残している個性的なキャラなんですが、そのキャラの立たせ方の差です。どちらが正解というわけではなく、両方とも視聴者を楽しませるために全力で工夫しているはず」

 ちなみに「最愛」の個性的な刑事役は津田健次郎(50)で、「真犯人フラグ」は渋川清彦(47)が演じている。

 物語の世界にどっぷり漬かって演者の一挙手一投足が見逃せなくなるのが「最愛」、物語よりも〈何が出てくるんだろう〉という玉手箱的なのが「真犯人フラグ」。大きく違うが、あなたが支持するのはどっち?

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  2. 2

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  3. 3

    阪神・佐藤輝明が“文春砲”に本塁打返しの鋼メンタル!球団はピリピリも、本人たちはどこ吹く風

  4. 4

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も

  5. 5

    広末涼子「実況見分」タイミングの謎…新東名事故から3カ月以上なのに警察がメディアに流した理由

  1. 6

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  2. 7

    国保の有効期限切れが8月1日からいよいよスタート…マイナ大混乱を招いた河野太郎前デジタル相の大罪

  3. 8

    『ナイアガラ・ムーン』の音源を聴き、ライバルの細野晴臣は素直に脱帽した

  4. 9

    初当選から9カ月の自民党・森下千里議員は今…参政党さや氏で改めて注目を浴びる"女性タレント議員"

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」