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井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

気に食わないから支配してやろうという「大ロシア主義」こそが大問題だ

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 実はこれは仲間らが、ウクライナの紛争を歴史的経緯から描いた「ウクライナ・オン・ファイアー」(2016年)という、「JFK」(1992年)のオリバー・ストーン監督が製作監修したドキュメンタリーをYouTubeで見てしゃべっていたことだ。ウクライナには今もそのゴリゴリの民族主義のネオナチ的勢力が現存し、国政にくみしながらCIAの援助も受け、04年のオレンジ革命、14年のキエフのマイダン革命を扇動し、親ロシアの大統領を追い払い、政権が変わったという話だ。以後、その反動でロシア語を話す親ロシア系住民地域で紛争が続いてきたために、プーチンはウクライナを丸ごと非ナチ化しようと企んでいるのだと。

 しかしだ。ウクライナがいくら民族自決主義の基に独立国でいようと、それが気に食わないから攻略して支配してやろうという「大ロシア主義」こそが大問題なのだ。

 散会した後、新作の「ザ・バットマン」でも見るかと最終回に出かけたがほとんど客がいなかった。中の売店でコーヒーを買おうとしたら「販売は9時までです」と断られた。「まだ5分すぎやろ?」と聞き返すと、「メーカーが止まってますので」とロボット口調でダメ押しされた。「じゃ、外のコンビニで買ってきてもいいか?」と聞くと、「外からの持ち込みは違反ですが、私は知りません」とちょっと人間らしく答えた。それもなんか悔しくて「なあ、ロシアのプーチンどう思う? 許せんよな?」と聞いてみたが答えはなかった。

 ウクライナの元コメディアンの大統領は、あの70歳の老獪な男にどう話しかけて停戦しようと考えてるんだろうか。

【連載】井筒和幸の「怒怒哀楽」劇場

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