なぜ皇族はテレビ局の密着取材を受けないのか? 圧倒的に少ない情報発信

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 皇室の尊厳を守るには、「開かれた皇室」よりも、むしろ閉じるべきだという説がある。しかし、それは現実的ではないだろう。閉じることで皇室の存在が薄れることにでもなれば、皇室を維持する必要はないという声が大きくなりかねない。やはり皇室は、常に時代にあわせて改革していくしかないのだと思う。

 まず「眞子さんの乱」で明らかになったのは、週刊誌の報道だ。眞子さんが「複雑性PTSD」と診断されたのも、週刊誌報道がきっかけだったといわれ、加地隆治皇嗣職大夫の「臆測に基づいて毎週のように報道するのは、メディアの姿勢としていかがなものか」といったように、宮内庁側から「遺憾」発言が相次いだ。

 だからといって週刊誌が引き下がるとは思えない。これまでも述べたように、内親王はスターであり、興味のある話題があれば書くのは当然で、それを力で抑えようとするのは無理がある。それよりも週刊誌側ともっと話し合うべきではないだろうか。週刊誌にはそれなりの影響力があるのに、なぜいまだに宮内記者会に加盟していないのだろうか。その存在を無視しようとするからではないか。話し合ったうえで宮内庁は積極的に発信し、それでも変わらなければ、そのとき対抗策を考えればいい。

 これまでも述べたように今も「音のない皇室映像」が当たり前のように使われている。天皇家や秋篠宮家を紹介しているのに、まるで無声映画のように言葉がない。最近は奉迎する人たちとの会話も聞けるようになったが、片言でもいいから、皇族が本音で語る言葉をぜひ聞かせてほしい。

 皇族は、なぜテレビ局の密着取材を受けないのだろう。ずいぶん昔のことだが、NHKで昭和天皇が御璽を押す場面や宮中晩餐会の裏側を撮影した映像が流れた記憶がある。よくぞテレビカメラが入れたものだと驚いたが、なぜ今それができないのだろう。

「ご公務」を再考してもいいと思う。天皇陛下のご公務といえば、植樹祭など国家が主導する行事、あるいは公益社団法人など国が推薦する団体が行幸啓の中心だが、両陛下のお言葉に期待しているのは大きな組織ばかりではないはずだ。ホームレス、不登校の子供たち、生活保護を受ける人たち……、弱者には励ましが必要だ。警備の問題があるなら、オンラインでもいい。国民に寄り添うだけでなく、弱者にも寄り添っていただきたい。

 2021年5月に、熊本地震で被災した高森町の子供たちや、鹿児島県の離島・竹島の子供たちとリモートで交流されたが、いずれも通常の行幸啓ではまず訪れることのない辺鄙な集落である。これこそ令和の行幸啓ではないだろうか。リモートだとそういう人たちにも話しかけることができるのだから、より国民に寄り添えるはずである。

 リモートだけではない。SNSを使って、どんどん発信していただきたい。年間に数えるほどしかないお言葉だけでは物足りない。「国民と共に歩む」ためには、ひな壇からときどき降りてくるだけでなく、思いの限り言葉を発信していただきたい。

 1997年、ダイアナ元妃がチャールズ皇太子と離婚したあと不慮の死を遂げたが、エリザベス女王が無関心をよそおったために、国民が強い反発を示した。これをきっかけに英国王室は改革に取り組み、自らの活動を積極的にPRするだけでなく、SNSもフルに活用するようになったという。皇室も、「眞子さんの乱」を契機に、より多くの人から愛され敬われるように変えていくべきではないだろうか。

 皇室は、変わらないことも大切だが、変わることも必要なのである。 (つづく)


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奥野修司著(日刊現代・講談社 1540円)

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