出雲市立出雲中央図書館(島根県)枯れ山水庭園を眺めながらの読書体験
縁結びの神様、出雲大社のおひざ元に1984年、開館した市の学術文化を担う図書館だ。以前、この欄でも紹介した「出雲市立海辺の多伎図書館」を含む7つある市立図書館のひとつで、施設の大きさ、貸し出し冊数ともに県内トップクラスを誇る。
「鉄筋コンクリート3階建てで、外からは平屋のように見えるのが特徴です。2、3階に書庫や多目的室があり、1階が開架の図書スペースになっています。建物はL字形になっており、館内のどこからでも庭園が見られるようになっているんですよ」(館長・梶谷淳司さん)
梶谷館長の言う庭園とは、図書館西側に配置された日本庭園「福寿園」のこと。青々とした芝生が広がる中に、白砂による曲水や青石による石組みが配置された回遊式枯れ山水庭園である。庭石は元々は島根県立中央病院の庭にあったもので、開館と同時に移したという。設計は作庭家の重森完途氏。完成した翌年に、「世界建築ビエンナーレ」庭園部門で金賞にノミネートされた名園である。庭園を持つ図書館は全国でもなかなか珍しい。散策はできず、館内から眺める枯れ山水だが、赤い屋根と庭園の緑とのコントラストが目に鮮やかだ。
「1階の18席ある読書コーナーは庭園に面しており、四季折々の景色が楽しめます。山陰は天気がよいのですが、夏、カラッとした青空が見えると庭の景色と相まって不思議と涼しく見えるんです。これから来館されるなら、ぜひ楽しんでいただきたい」(梶谷さん)
天気の良い日は北側に出雲の山々も見えるそうだ。