「ニッポン珍供養」鵜飼秀徳著
「ニッポン珍供養」鵜飼秀徳著
日本人は、身近なペットをはじめ、動物や昆虫、爬虫類、両生類、魚類に至るまであらゆる生き物を供養してきた。そうした行為は、遅くとも中世から続いているそうだ。
供養の対象は生き物に限らず、人形や針、筆などから、近年では眼鏡や財布、パソコン、果てには道路や、太陽や月などの天体にまで広がっているという。それらへの感謝の心が「供養する」という行為に昇華されたようだと著者はいう。
一方で、人間の葬送は簡略化が進み、墓じまいも過熱している。
飛鳥時代にまつられた日本最古の犬塚をはじめ、デジタルデバイスを供養する福岡市の神社、長野の善光寺の「迷子郵便」の供養塔など、各地を取材し、日本人の多様な弔い行為を紹介しながら弔う側と弔われる側の間で展開する物語を読み解く。
(集英社インターナショナル 1012円)