「絵と図でわかる科学事典」カミーユ・ジュゾー、モルガーヌ・レビュラール、コラン・カラデック著 原正人訳、吉井大志監修
「絵と図でわかる科学事典」カミーユ・ジュゾー、モルガーヌ・レビュラール、コラン・カラデック著 原正人訳、吉井大志監修
唐突だが「{G3T}rrrouh rou.RRROUH」──これが何の公式かお分かりになる人はいるだろうか。
実はこれ、身近なあのキジバトの歌声を暗号化技術を用いて公式化したものだという。
ではもう1問。
「カイパーベルト」と「オールトの雲」が何かご存じだろうか。
これらはふたつとも太陽系において彗星が発生する「貯蔵庫」だそうだ。
本書は、こうした動物学や天文学をはじめ、気候や植物、地質に物理学まで、私たちを取り巻く森羅万象を解き明かす自然科学の分野から興味深いトピックを取り上げ、インフォグラフィックによって視覚的に解説してくれるおもしろ事典。
19世紀の製造術の発展以来、変わっていないという打ち上げ花火の仕組み(配合や構造の進化で形や色は多様化)や、人によっては100デシベルの音量に達するいびきのメカニズム(100デシベル=耳から2メートルの場所でハンマードリルを使用する音量に匹敵)、出会いからセックスまでの脳内のホルモンの働きの変化をみる「愛の化学」など、実に多様な124のトピックを1トピック1ページで簡潔に解説。
ほかにも、動物の特定からその状態(ストレスを感じているとか交尾の時期とか)まで分かる「糞」の不思議や、アメリカ軍の秘密基地「エリア51」や「世界の有毒なヘビがほとんど集まっている」ブラジルの「ケイマーダ・グランデ島」といった接近することが困難だったり禁止されたりしている「禁足地」などを解説。若返りの能力を持つ「不死のクラゲ(ベニクラゲ)」、マフィアが取引を牛耳る第3の資源「砂」、そしてチンパンジーやカラス、ゾウなどが仲間の死を悼む儀式など、おもしろネタが満載だ。
好奇心をくすぐるトピックばかりで、夏休みの自由研究のテーマ探しにもピッタリ。
(グラフィック社 2860円)