著者のコラム一覧
てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。最新著「王者の挑戦『少年ジャンプ+』の10年戦記」(集英社)、伝説のテレビ演出家・菅原正豊氏が初めて明かした番組制作の裏側と哲学をまとめた著者構成の「『深夜』の美学」(大和書房)が、それぞれ絶賛発売中!

コント赤信号・渡辺正行の代名詞「コーラ早飲み」“不敗神話”の裏に「無理と我慢」

公開日: 更新日:

 そんな中、1985年から渡辺はピンで「笑っていいとも!」(フジテレビ系)のレギュラーに抜擢された。トリオではなく1人での起用に渡辺は意気込んだ。そこで人気コーナーとなったのが、「13日の月曜日」。当初は対決企画ではなく、客に配られたコーラを出演者が飲み、瓶の底に「退場」のカードがあると、その場で退場しなければならないという観客にとっては恐怖の企画だった。だが、渡辺のコーラの飲みっぷりがよく、プロデューサーの横澤彪の提案で早飲み対決になったのだ。

 渡辺は連戦連勝。だが、ある時、渡辺は負けてしまう。本人は「しょうがないよな」程度の気持ちだったが、横澤はわざわざ渡辺の楽屋に立ち寄り一言「ナベちゃん、負けちゃったね……」とつぶやいた。その言動に「そうか……。負けちゃいけないのか……」(双葉社・渡辺正行著「関東芸人のリーダー お笑いスター131人を見てきた男」2022年1月20日発売)と思い知った。

 そこからは決死の覚悟で勝負に挑むようになり、絶対に負けなくなった。できるだけ顔を上に向け、ゴクゴク飲まずに一気に口から胃まで流し込む。そうしたコツや戦略はあるが、彼が半ば冗談、半ば本気で言う「コツ」こそ、「もっと無理をすること。もっと無理と我慢」(同前)だ。

 その不屈の精神で芸人による「サブ司会」という新たな役割を開拓したり、30年以上にわたり「ラ・ママ新人コント大会」を主催し続け、渡辺正行は関東芸人の「リーダー」と呼ばれるまでになったのだ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    自民党は戦々恐々…公明党「連立離脱」なら次の衆院選で93人が落選危機

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    俺と巨人ガルベスの大乱闘の一部始終…落合博満さんのヘッドロックには気を失いかけた

  4. 4

    ドジャース佐々木朗希の抑え起用に太鼓判も…上原浩治氏と橋本清氏が口を揃える「不安要素」

  5. 5

    今オフ日本史上最多5人がメジャー挑戦!阪神才木は“藤川監督が後押し”、西武Wエースにヤクルト村上、巨人岡本まで

  1. 6

    侍J井端監督 強化試合メンバー発表の裏に「3つの深謀遠慮」…巨人・岡本和真が当選のまさか

  2. 7

    メジャー今オフにも「二刀流ルール」撤廃の可能性…ドジャース&大谷翔平に他球団のやっかみ集中

  3. 8

    “児童ポルノ”で衝撃逮捕!日本サッカー協会・影山技術委員長の素性…「精神的な負担を抱えていた」の声も

  4. 9

    奈良の鹿愛護会が語った現場のリアル…「シカさんをいじめるな!」の裏に横たわっている大問題

  5. 10

    万博協会も大阪府も元請けも「詐欺師」…パビリオン工事費未払い被害者が実名告発