「サンクチュアリ」犬塚理人著
「サンクチュアリ」犬塚理人著
主人公は、入庁5年目にして東京地検の刑事部に配属された若手検事・一色瑞穂。ある日、司法修習生時代の教官である高宮誠一郎に、連続殺人事件で生き残った女性への事情聴取を頼まれる。自殺願望のある女性を狙って殺害していた男が、取り調べの最終段階で自殺幇助しただけだと主張を変えたため、生き残りの女性・谷津佳苗を改めて調べ直すことになったのだ。
瑞穂は、佳苗のマンション玄関で、つい最近まで星形のシールが貼られていたかのような五角形の跡を見つける。それは、宗教団体サンクチュアリの信者が、住まいに貼ることになっている五芒星のステッカーの形だった。瑞穂が以前付き合っていた宇佐美亮太が、サンクチュアリ信者の親に育てられた宗教2世だったため、マークには見覚えがあったのだ。この聴取を皮切りに、瑞穂は次々巻き起こる事件の第一線に立ち向かっていくのだが……。
2018年「人間狩り」で第38回横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞してデビューした著者による最新作。主人公がひとつひとつの現場での気づきを積み重ねながら、掘り当てる意外な真実に驚かされる。 (講談社 2530円)



















