「れるられる」最相葉月著

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「れるられる」最相葉月著

 世界はあちら側とこちら側でできている。多くの人は当然のようにこちら側にいると思っているが、何かの拍子に境目が浮かび上がると、実はあちら側にいたことに気づかされたりする。本書は、ノンフィクション作家がこれまで取材や人生で出会った人たちの生き方を通して、その境目について考察したエッセー。

 生命の誕生に関する科学技術について取材中に考えた第三者の精子の提供を受ける非配偶者間人工授精で生まれた子どもの父親を知る権利や、妊娠中に胎児の出生前診断をめぐり知らないでいることの不安と知ってしまうことの恐怖のせめぎ合いに追い詰められる妊婦たちの実態。さらに精神疾患や研究者の自死で考える科学分野の研究者の置かれている環境など、人の心を引き裂くさまざまな境目を見つめる。

(岩波書店 1023円)

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