下を向いても目から涙がこぼれないのはなぜ?
眼球の表面は涙液で覆われています。それにもかかわらず、下を向いても目の表面の涙液がこぼれ落ちないのはなぜ? その秘密は涙液の成分にあります。
涙の主成分は水で、「ムチン層」「水」「油層」の3つの構造で成り立っている薄い膜です。下を向いてもこぼれないのはこの中の「ムチン層」がポイントです。ムチンは粘り気がある動物由来の高分子糖タンパク質で、唾液や胃の粘膜などにも存在している液体です。このムチンが目に膜を作り、貼り付けてくれているため、重力に負けない涙液となるわけです。
ではムチンが少なくなると、涙液はどうなるか。サラサラした涙になるので、当然ながら涙液が安定して眼球の上に定着できにくくなります。そうなると眼球が乾いて、ドライアイになってしまいます。
ムチンの減少理由としては、ストレス、加齢、食生活、薬の副作用などが考えられます。このタイプのドライアイの場合、ムチンの分泌を促す成分の目薬が開発されていて、そうした種類の目薬を点眼することで、症状が緩和されます。残念ながら、薬局では販売しておらず、眼科医の処方箋が必要になります。


















