著者のコラム一覧
荒木経惟写真家

1940年、東京生まれ。千葉大工学部卒。電通を経て、72年にフリーの写真家となる。国内外で多数の個展を開催。2008年、オーストリア政府から最高位の「科学・芸術勲章」を叙勲。写真集・著作は550冊以上。近著に傘寿記念の書籍「荒木経惟、写真に生きる。荒木経惟、写真に生きる。 (撮影・野村佐紀子)

<88>今は通過点…オレとしてはまだね、伝説扱いはイヤなんだよ

公開日: 更新日:

2022年の今、現在(2)

 今はまだ、通過点なんだよ。ザワザワしてるし、まだ、いいかげんなコトを続けてる。それは、オレがいいかげんだからというより、自分がわからないからだよ。頂点を目指してとかじゃないんだ、頂点なんてないんだからさ。

 例えば、ピカソとかもそうじゃない? ピカソの作品、あれはみんな、過程なんだよね。歴史とおんなじでさ、「ゲルニカ」だってさ、たまたま生きてるときに、(ゲルニカの惨劇が)あったっていうだけで、あれがもう頂点だって本人は思ってないし、ひとつのエピソードが、自分のピカソの人生に入ってきただけでさ。

■まとめっていうわけじゃない、途中なんだ

 みんな、なんかに集約しちゃうとまずいわけ。イズフォト(ミュージアム)でやってくれた写真集の展覧会ね、これをやったのも、本を展示するという見せ方がさ、こんだけいいかげんで、本もバラついてるっていうのがわかるじゃない。そうすると、見た人が自分でストーリーをつくれるじゃない、ドラマを、人生をつくるっていう。それで、これはまとめっていうわけじゃないんだよね。途中なんだよ(2012年にIZU PHOTO MUSEUMで「荒木経惟写真集 アラーキー」を開催。電通時代に制作したスクラップブックの写真集から最新刊まで454冊の写真集・著書が展示室の壁面に展示され、そのほぼすべての本を実際に手にとって触り、ページをめくって見ることができる展覧会)。

 この後もかなりあるんだけど、海外で出たのが多いんだよね。でも、まだまだ途中。オレの本、たいがい500冊以上って紹介してる場合が多いけど、たぶん、600冊を超えてんだよね。オレもわからないんだよ(笑)。

今、やっているコトを出していきたい

 やっぱり今、ものすごく花と人形の「PARADISE」がね、人形ってヘンだけどさ、肉体、肉物じゃなくて、人形のが、なんかこう感じあえるっつう気分の時なんだよ。だから、やめないで続けるけどね。

 今、やっているコトを出していきたいんだ。過去のコトじゃなくてさ。要するにね、オレとしてはまだね、伝説扱いはイヤなんだよ。まだ途中、過程だからね。

(構成=内田真由美)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    亡き長嶋茂雄さんの長男一茂は「相続放棄」発言の過去…身内トラブルと《10年以上顔を合わせていない》家族関係

  2. 2

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  3. 3

    「時代と寝た男」加納典明(17)病室のTVで見た山口百恵に衝撃を受け、4年間の移住生活にピリオド

  4. 4

    中居正広氏に降りかかる「自己破産」の危機…フジテレビから数十億円規模損害賠償の“標的”に?

  5. 5

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  1. 6

    “バカ息子”落書き騒動から続く江角マキコのお騒がせ遍歴…今度は息子の母校と訴訟沙汰

  2. 7

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  3. 8

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  4. 9

    「こっちのけんと」の両親が「深イイ話」出演でも菅田将暉の親であることを明かさなかった深〜いワケ

  5. 10

    長嶋一茂が父・茂雄さんの訃報を真っ先に伝えた“芸能界の恩人”…ブレークを見抜いた明石家さんまの慧眼

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも