野宮真貴さん50年間“推し”はKISS 10代での衝撃の出会い、メンバーたちとの交友

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野宮真貴さん(ミュージシャン/62歳)

 80年代から90年代にかけて音楽シーンを席巻した渋谷系を代表するシンガーで、ピチカート・ファイヴのボーカル、野宮真貴さん。今もデビュー40周年ライブ、アルバム発売など精力的に活動しているが、少女時代から魅せられた音楽はハードロックバンドの「KISS」……。

 ◇  ◇  ◇

 KISSが初めて来日したのは1977年です。その時の日本武道館でのコンサート、さらに78年の武道館での5公演のうち2公演を見に行っています。

 初来日の時は歌舞伎用の白塗りのメークをして気合を入れて電車で出かけました。78年の時は私が行っていた原宿の美容師さんたちとメンバー4人の衣装を手作り、同じヘアスタイルでタクシーで駆けつけました。タクシーがなかなか止まってくれなかったですね(笑)。

 KISSのビジュアルは衝撃でしたね。白塗りメークでシルバーと黒が基本の衣装がオシャレだし、音楽もシンプルなロックンロールで聴きやすくてとてもポップ。ライブでは火を噴いて炎は上がるし、ハイヒールで階段を駆け上がり、下りてきたらジャンプ! ショーとしても最高です。

 出会いは75年。ロック好きで「MUSIC LIFE」を毎月購読していました。デビッド・ボウイやT・レックスとか、きらびやかな衣装を着てパフォーマンスするグラムロックのファンだったのですが、一枚の写真にクギ付けに。KISSのメンバーがメークをしてビジネススーツを着ている3枚目のアルバム「Dressed to Kill」(地獄への接吻)でした。歌舞伎のようなメークとスーツ姿のモノクロ写真!

 それが日本ではKISSのファーストアルバムでしたが、聴いたら少女の私にもわかりやすかった。それで輸入盤屋で1枚目と2枚目のアルバムも買い求めて聴くうちにすっかりハマってしまいました。

 好きなアルバムは76年の「Destroyer」(地獄の軍団)ですね。コンセプトがしっかりしていて曲もすてきです。この一曲と言われたら「I Was Made For Lovin' You」(79年)です。ディスコミュージックが流行した70年代後半にそのリズムを取り入れた曲を作り、しかもヒットさせた。それまでのファンの中にはロックを裏切ったと言う人もいたけど、時代の流れに乗って感動を与え続けているのはすごいことです。

 実は98年に発売されたKISSのトリビュートアルバム「地獄の賞賛」に私も参加して、フランス人DJのディミトリ・フロム・パリと、この「I Wasーー」をコラボしています。この時はポール・スタンレーから「マキは日本のバービー人形だ」とメッセージもいただきました。

コスプレして出かけた日本武道館公演

 2000年発売のアルバムではバラードの「ハードラック・ウーマン」もカバーしました。

 メンバーと最初に会ったのは01年の2度目の東京ドーム公演です。来日する前にたまたま、ピチカートのスタイリストを担当してくれていた人が海外でKISSのマネジャーと知り合って、「ツアーで日本に行くから遊びにおいでよ」と言われたというので、ライブが終わった後、楽屋を訪ねました。78年の来日の際にコスプレした写真を会場で撮られ新聞に載ったのですが、99年に出した「おしゃれ手帖」というエッセー本にその記事も載せたので、本をプレゼントしました。

 06年の名古屋公演ではジーン・シモンズ、ポールと一緒に写真も撮りました。メンバーが来日すると、必ず寄っていくアクセサリーの店があって、その関係者に誘われて。ジーンはサービス精神旺盛な人で、ファンと写真を撮る時は力を入れてグッと抱き寄せる。私は悲鳴をあげました(笑)。

 一度は本場で見てみたいと、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンのコンサートも見に行ったし、日本公演は全部見てます。一度だけ全国の公演に出かけ、宿泊するホテル、彼らがやってくるバーも調べて。追っかけみたいですけど、遠くから見て、同じ空気を吸っているだけで幸せな気分になれました。

 渋谷系のミュージシャンにもKISSのファンは多いんですよ。最近では、ももいろクローバーZですね。15年にはKISSがももクロのために曲を書き、東京ドーム公演ではももクロがゲスト出演し、コラボが実現しました。その時は息子がももクロのファンだったので一緒にコンサートを見ることができました。

 ジーンもポールも70歳を過ぎていますが、約50年間も私の「推し」はKISSなんです。私も還暦を過ぎましたが、KISSを見習って古希までミニスカートをはいて歌う! というのが今の目標です。

(聞き手=峯田淳/日刊ゲンダイ

デビュー40周年「New Beautiful」リリース

■4月にデビュー40周年のアルバム「New Beautiful」をCDリリース

 ピチカート・ファイヴ時代の代表曲を世界で活躍する新進気鋭なアーティストたちがリメーク、そして野宮がセルフカバーした最新バージョンの「スウィート・ソウル・レヴュー」や「東京は夜の七時」、さらに20年ぶりに小西康陽とステージで歌った「サンキュー」のレアなライブ音源も。大滝詠一の「夢で逢えたら」を鈴木雅之と歌ったライブバージョン、同い年で同期のクレイジーケンバンドの横山剣に頼んで実現した新曲「おないどし」など10曲を収録。5月25日にはアナログ盤の発売と、レコード会社4社による80曲が世界配信された。

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