著者のコラム一覧
荒木経惟写真家

1940年、東京生まれ。千葉大工学部卒。電通を経て、72年にフリーの写真家となる。国内外で多数の個展を開催。2008年、オーストリア政府から最高位の「科学・芸術勲章」を叙勲。写真集・著作は550冊以上。近著に傘寿記念の書籍「荒木経惟、写真に生きる。荒木経惟、写真に生きる。 (撮影・野村佐紀子)

<105>水木しげるさんはカメラを手に待ち構えていた 真剣勝負の気配を感じたんだね

公開日: 更新日:

 撮影は、男同士の正面衝突。で、10分くらいだね、勝負は。出会い頭でしょ。10分かからない人もいるけどね。そういう人は5、6分が勝負だね、出会ってから。

 ポートレート、肖像写真てのは、こっちが鏡にならなくちゃいけないから、ある程度こっちにも歴史がないとダメなわけだね。対等の目線で勝負するには、やっぱりそれなりのものをこっちもつくっておかなきゃ。だから50過ぎないと、肖像写真なんか撮れるはずない。

 それでオレは60手前くらいから始めたんだ。本当は70歳ぐらいが一番いいんだ。人生の何たるかを感じるようになるのは、やっぱりそれくらいだろ。ところが体力が無くなってくるわけ。写真を撮るのも眼力というか、体力が要るからね。

■お茶目だった水木しげるさん

 これは水木しげるさん(「ゲゲゲの鬼太郎」で知られる漫画家。2015年93歳で死去)。仕事部屋に行ったら、水木さんがカメラを手に待ち構えていたんだよ。いきなりバシャバシャって撮られてさ。オレのほうが返り討ちにされたんだよ(笑)。

 勘で感じたんだね、真剣勝負の気配を。行くぞって。いざ撮ろうとしたら、今度はしれっとした顔でベロ出してきて、そういうお茶目なところが魅力なんだよ。いいねぇ~。好きなんだよ。

(構成=内田真由美)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  2. 2

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  3. 3

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  4. 4

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  5. 5

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  1. 6

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー

  2. 7

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方

  3. 8

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  4. 9

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  5. 10

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした