著者のコラム一覧
荒木経惟写真家

1940年、東京生まれ。千葉大工学部卒。電通を経て、72年にフリーの写真家となる。国内外で多数の個展を開催。2008年、オーストリア政府から最高位の「科学・芸術勲章」を叙勲。写真集・著作は550冊以上。近著に傘寿記念の書籍「荒木経惟、写真に生きる。荒木経惟、写真に生きる。 (撮影・野村佐紀子)

<97>水着の女の子の写真に全部、名前と電話番号がついているワケ

公開日: 更新日:

 これ、『水着のヤングレディたち』って言うんだけどね。まだ電通に行ってた頃だよ(1971年)。江ノ島の海で撮った300人の女の子の写真を並べて本を作ったんだよね。

 1日で撮って1冊作ったんだけど、枚数を集めるのに一人じゃダメだろ、手分けしないとね。オレも他力本願だから、「ゲリバラ」のみんなに頼んじゃうんだよ(1970年に電通の仕事仲間3人と「ゲリバラ三銃士」を結成。「ゲリバラ」は、ゲリラ、ゲバラ、下痢腹よりネーミング。ゲリラ的な活動を拡大していった。翌年に2人が加わり「複写集団ゲリバラ5」となり、写真展や写真集を刊行)。

 海からあがってくる女の子に声かけて、「ハイ! キレイ!」って、みんな撮っちゃうんだよ。“水もしたたるイイ女”と言ってさ(笑)。ゲリバラのみんなと海に行って、「おまえは何地区」って分けて、「いいか、海からあがってくる女の子を、みんな撮れ」ってね。

「絶対に電話番号を聞こうぜ、聞くんだぞ」って言って、撮りまくったんだよ。だから、写真に全部、名前と電話がついてるだろう? 聞いた電話番号を書いちゃってんだね、名前も。

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