「俺が損してる」妻の“だらしなさ”を叱るのはモラハラか? 帰宅拒否寸前、44歳夫のストレス

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コクハク

44歳夫、結婚を軽く後悔

 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人差があります。ひとつの出来事への解釈や目的が、男性と女性では異なる場合もしばしば。男性と女性では、夫婦のあり方への認識が大きく異なる場合も。

 魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様分析を得意とする並木まきが、そんな男女の“冷酷” と“激情”のあいだを垣間見るエピソードをお届けします。

【冷酷と激情のあいだ~男性編~】

「俺って、そんなにいつもキツい言葉で話しています? 妻から何度か指摘はされていてますが。あんまり自覚ないんですよね」

 妻との結婚生活は理想とはかなり違うと、ジュンイチさんは浮かない顔でぼやき始めました。

「俺ね、妻の“のんびり”した性格が好きで結婚を決めたんですよ。俺が“せっかち”なので、まったく違うタイプの人のほうがいいだろうなって思って。でもねぇ…、今となってはその選択を、軽く後悔しているんですよね」

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専業主婦なのに

 ジュンイチさんの妻は、専業主婦。家事や料理などはすべて妻が担当をする約束で、結婚生活をスタートさせたとのこと。

「うちの妻は“のんびり”を通り越して、“だらしない”んです。『犬の抜け毛がすごいし掃除するね』って言ってもやらない。『今日はカレーだから楽しみにしてて』って期待させるくせに、帰宅すると『面倒だから明日にする』ってのは日常茶飯事で…。

 行政の手続きに必要な書類もどこに行ったか分からないと大騒ぎする上、期日ギリギリに出すタイプ。そんな妻を見ているとイライラしちゃってダメですね。

 結婚するときに約束したので、さすがに俺に『家事をやって』とは言ってきませんが…。自分がやるべき家事をちゃんとやらないから、俺的には『一日家にいるのに、何をしているんだ?』ってイラつくんですよ」

妻がだらしないから仕方ない

 過去に、しばしば妻に対し責めるような言い方をしたことがあると認めた上で、ジュンイチさんは憤ったように言葉を続けます。

「でも、それは妻がいつまでもだらしないからで、ある程度は仕方ないでしょう。まぁ、キツい言葉を使って指摘をしたからって、妻の行動が改善されているワケでもないんですけどね…。

 モラハラ疑惑を向けられているだけ、俺が損をしているかもしれないですね」

自分がストレス源だって気づいてよ

 新婚当初は一緒にいられるだけで幸せを感じていたと、当時を振り返るジュンイチさん。それが今では、仕事を終えて家に帰るのが憂鬱に感じる日も増えているそうです。

「“相手を変えるのは大変だ”ってよく聞きますけど、あれって本当ですよね。妻はきっとこのままずっと変わらないんでしょうね。だけどそうなると、俺がこの先ずっと我慢するしかないわけで…。

 どこかで気づいてほしいですね、自分がだらしないことが俺のストレスになってるって。本人にそれとなく話したことがあるんですけど、ピンときていない様子でした」

  ◇  ◇  ◇

 恋人同士であれ、夫婦であれ100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません
(並木まき/ライター・エディター)

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