「大井の帝王」と呼ばれた的場文男さんは騎手引退から10カ月…朝5時までゆっくり眠れる毎日を送る
的場文男さん(元騎手/69歳)
今年の競馬界、大きな出来事の一つが“大井の帝王”こと的場文男騎手の引退だった。前人未到の7424勝の大記録を残し、半世紀以上の騎手生活にピリオドを打った帝王は今どうしているのか。
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的場さんに会ったのは、東京・銀座の喫茶店。
「引退してからはノンビリしています。競馬はテレビで見てますよ。『ザ・ロイヤルファミリー』(TBS系)も楽しかった。テレビを見るほかは、家の近所にある日帰り温泉に通って汗を流したり、旅行したり、女房の買い物に付き合ったりね。今日も女房と銀座に買い物に来たんですよ(笑)」
的場さん、力強い大きな声でこう言った。引退してから8カ月。ノンビリと言いつつ、元気いっぱい、活力にあふれている。
引退するには早かった?
「いやいや、50年以上現役を続けましたから、もう十分です(笑)。馬に乗ることしかできないから、何か新しいことを始めようという気もありません」
声がかかれば、地方の競馬場や引退競走馬支援団体でのイベント、YouTubeに出演しているそうだ。
「北海道の門別、金沢、佐賀などに行きましたね。女房も一緒に行くと、温泉に寄って帰ったりしています。現役時代は旅行にほとんど行けなかったから。引退は、その前年2月に左膝の靱帯を断裂したのが引き金になりました。ゲートで馬に乗るとき、ガキッとやっちゃって、それから5カ月休んだけどダメでした。4万3497戦も乗ったんだから、やめどきだったんです。今は、馬に乗りたくなることもありません」
晴れ晴れとした表情だ。


















