著者のコラム一覧
松尾潔音楽プロデューサー

1968年、福岡県出身。早稲田大学卒。音楽プロデューサー、作詞家、作曲家。MISIA、宇多田ヒカルのデビューにブレーンとして参加。プロデューサー、ソングライターとして、平井堅、CHEMISTRY、SMAP、JUJUらを手がける。EXILE「Ti Amo」(作詞・作曲)で第50回日本レコード大賞「大賞」を受賞。2022年12月、「帰郷」(天童よしみ)で第55回日本作詩大賞受賞。

天童よしみさん「NHK紅白出場」に心から安堵、あのタイムレスな歌声の偉大さよ

公開日: 更新日:

 大晦日の『第73回NHK紅白歌合戦』の出場歌手が発表された。賛否両論あれど、紅白はこの国有数の長寿テレビ番組である。現在もなお放送業界と芸能界で破格のステイタスを誇ることは周知の通りだ。「紅白」のように、番組名に含まれる普通名詞がそのまま略称として通用する例はそうそうない。「大河」や「のど自慢」くらいか。あ、どちらもNHKだな。

 紅白をすべての歌手が目指す必要はない。そんな時代でもない。だが歌づくりを生業とするぼくは、紅白が夢という歌手と組む場合はその実現に向かって尽力する。当然のことだ。裏方にとって紅白は達成すべき「目標」であり、運だのみの「夢」ではない。

 出場経験豊富なベテランとの仕事では、いっそうの注意と集中力が必要とされる。だから、今年の紅白発表で天童よしみさんのお名前を確認したときは心から安堵した。9月に発売された50周年記念シングル「帰郷」で、ぼくは初めて彼女に歌詞を提供していたのだ。紅白発表に先がけて同曲は『日本作詩大賞』にもノミネートされたので、二重の安堵だった。

 念のために言うなら、天童さんは紅白の常連中の常連。今年でじつに通算27回目、26年連続出場となる。人気・実力ともに演歌界のトップクラスの彼女との仕事で絶対に回避したかったのは、自分が関わるせいで連続出場が途絶えるという事態。先ほど「安堵」と言ったのはそんな不安が払拭されたから。いっそ若手との仕事ばかり重ねれば気楽でいいかというと、それも大いに疑問だ。歌の世界には、キャラクターを確立したベテランだけが表現できる領域が確かに存在する。作り手にとってそれは抗いがたく魅力的なのである。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐藤二朗の地上波ドラマはしばらく厳しいが…橋本愛の事態はもっと深刻

  2. 2

    小池栄子が一番の被害者? 佐藤二朗“ハラスメント騒動”に足引っ張られた「さよならノワール」の評価は上々

  3. 3

    戸郷が離脱、則本メッタ打ちで巨人が緊急補強へ…候補に挙がる「オリックス投手」の名前

  4. 4

    安青錦は「カラダ」より「アタマ」に課題…2ケタ勝利で大関復帰を果たせるか

  5. 5

    『ひよっこ』再放送記念、神回「ビートルズがやって来る」再録

  1. 6

    福山雅治も結婚後は苦戦…亀梨和也も正念場を迎えている

  2. 7

    佐藤二朗騒動の余波!「福田組」の長澤まさみへの“ハラスメント”舞台挨拶の悪ノリ動画が再注目…女性視聴者は嫌悪

  3. 8

    山田涼介が「令和最強アイドル」と評されるワケ…主演ドラマ「一次元の挿し木」は玉森裕太を三歩リード

  4. 9

    高市首相が衆院集中審議に“出たくない”とブー垂れ…身内の自民国対「もう疲れ果てた…」ヘトヘトのお気の毒

  5. 10

    ベタ折れで肝いり法案断念の維新 吉村代表と馬場前代表にミゾで「国会組」vs「大阪組」のバトル勃発