著者のコラム一覧
松尾潔音楽プロデューサー

1968年、福岡県出身。早稲田大学卒。音楽プロデューサー、作詞家、作曲家。MISIA、宇多田ヒカルのデビューにブレーンとして参加。プロデューサー、ソングライターとして、平井堅、CHEMISTRY、SMAP、JUJUらを手がける。EXILE「Ti Amo」(作詞・作曲)で第50回日本レコード大賞「大賞」を受賞。2022年12月、「帰郷」(天童よしみ)で第55回日本作詩大賞受賞。

高橋幸宏さん逝去 われらが世代のヒーローだったことを痛感する

公開日: 更新日:

 ところで、大抵ステージ後方に配置されるドラムという楽器の特性もあり、「顔が売れたドラマー」は案外少ない。お茶の間でユキヒロさんほど愛されたドラマーはYOSHIKIくらいではないか。YOSHIKIさんの人気の理由にピアノの技量や容姿の美しさも挙げられるように、ユキヒロさんもまた多様な魅力で知られた。YMOの大ヒット「君に、胸キュン。」(1983年)等でのボーカルもそのひとつだが、高橋幸宏といえば何といっても「オシャレ」。40年以上も前にファッションデザイナーとしても高い評価を受けた稀少なミュージシャンだった。

 初期YMOのトレードマーク「赤い人民服」も彼のデザイン。実はあれは人民服ではなく明治時代の日本のスキー服がモチーフだったと、後年本人が明かした。YMOが登場したころ、欧米からは日本も中国も一緒くたに混同されがちだったが、YMOはそれに抗わずあえて誤解に乗ったのである。バンド設立時にリーダー細野が考えた戦略は、西洋人が抱く類型的な東洋イメージを能動的に演じながら、アジア、アフリカ、南米などのエキゾチックな音楽をエレクトリックディスコ調に表現すること。だから人民服という誤解への「乗っかり」も故意犯だった。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    長瀬智也が国分太一の会見めぐりSNSに“意味深”投稿連発…芸能界への未練と役者復帰の“匂わせ”

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    元TOKIO松岡昌宏に「STARTO退所→独立」報道も…1人残されたリーダー城島茂の人望が話題になるワケ

  5. 5

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  1. 6

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  2. 7

    立花孝志容疑者を追送検した兵庫県警の本気度 被害者ドンマッツ氏が振り返る「私人逮捕」の一部始終

  3. 8

    日吉マムシダニに轟いた錦織圭への歓声とタメ息…日本テニス協会はこれを新たな出発点にしてほしい

  4. 9

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  5. 10

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…