TV各局「ジャニーズ問題検証番組」はお手盛り超薄味…テレ朝は報道機関の役割放棄

公開日: 更新日:

 ジャニーズ事務所の創業者である故ジャニー喜多川氏による性加害問題をめぐるテレビ各局の検証番組が放送される中、最後となったテレビ朝日が12日、「テレビ朝日 旧ジャニーズ問題検証」を放送した。

 最初はNHKが9月11日に「クローズアップ現代」で特集し、以降、日本テレビが先月4日の「news every.」で、TBSが同7日の「報道特集」で、フジテレビは同21日に、テレビ東京は26日の特番で放送。在京テレビ局としては最後となったテレビ朝日の検証内容に注目が集まっていた。

 テレビ朝日といえば「ミュージックステーション」にほぼ毎週ジャニーズタレントを起用し、ジャニーズ専用リハーサル室を提供。リハーサル室でのダンスレッスンをきっかけに、Jr.に昇格した少年も多く、Jr.が主役の番組「裸の少年」などもあり“Jr.の登竜門”的位置づけでもあった。

 番組ではジャニーズ事務所を「圧倒的にパワーバランスの上位にいる」として一部忖度はあったことを容認。キャスティングについては「後発の局で人気者は基本的にこちらからお願いしていた、特に旧ジャニーズ事務所は会社事だった」「あらがいにくい案件だという空気が醸成されていた」と明かしたが、しかしながら、リハーサル室が性加害の現場になったことに対する検証や、職員がハワイ旅行などの高額接待を受けていたことはスルー。

 論点を「なぜ週刊文春報道に対する判決を報じなかったのか」に重きを置き、現場担当者の「裁判があることを知らなかった」「当時はオウム事件で忙しかった」といったコメントを紹介。踏み込んだコメントは一切みられなかった。元テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道氏がこう言う。

「報道機関としての役割を放棄してしまったことが、OBとして悲しいところ。“後発番組でジャニーズタレントに出て欲しい立場だった”“上層部が交渉・対応にあたっていた”ことは明らかな忖度。視聴者が一番“そこはどうなのか?”と思う点には触れず、最小限の反省でお茶を濁したと感じました。

 文春との判決を“裁判があることを知らなかったから”報じなかったという回答も、“当局に教えてもらわないと動かない”“独自にニュースを取ってくる力はなくなった”つまり“スクープを取って社会悪と戦う気はない”“テレビのニュースは信用するな”と公言してしまったと言っても過言ではないし、それに気づかないことが問題です。

 すでに英BBCがジャニーズ問題を報じてから半年以上が経過していますから、せめてその間の局としての対応について報じるべきでは。確かに、民放においては現場の人手不足、制作費削減で取材せずに時間を埋めることに注力している状況は否めません。今後はこうした環境を改善すべきだと思います」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  2. 2

    高市政権の物価高対策はもう“手遅れ”…日銀「12月利上げ」でも円安・インフレ抑制は望み薄

  3. 3

    元日本代表主将DF吉田麻也に来季J1復帰の長崎移籍説!出場機会確保で2026年W杯参戦の青写真

  4. 4

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  5. 5

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 7

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 8

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾