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北島純映画評論家

映画評論家。社会構想大学院大学教授。東京大学法学部卒業、九州大学大学院法務学府修了。駐日デンマーク大使館上席戦略担当官を経て、経済社会システム総合研究所(IESS)客員研究主幹を兼務。政治映画、北欧映画に詳しい。

6本の映画で理解する「大統領(候補)暗殺」

公開日: 更新日:

■レーガン暗殺未遂につながった「タクシードライバー」

 まずはマーティン・スコセッシ監督「タクシードライバー」(1976年、ロバート・デニーロ主演)。72年のジョージ・ウォレス大統領予備選候補(民主党)狙撃事件に着想を得た作品で、カンヌ・パルムドールを受賞した名作中の名作だ。街娼を演じたジョディ・フォスターの偏執狂的ファンがこの映画に感化され、81年にレーガン暗殺未遂事件を起こしている。

 政治家の暗殺に付いて回るのが「陰謀論」。ケネディ暗殺はCIAやFBI、マフィアの陰謀で、黒幕はジョンソンだとする説も根強い。世界的ヒットになった「JFK」(91年)や「JFK 新証言 知られざる陰謀」(2021年)で「軍産複合体の陰謀」を追及してきたオリバー・ストーン監督は現在、一周回って親プーチンに転じている。

 陰謀論が生まれる土壌には情報の混乱、とくに暗殺現場の混乱がある。今回のトランプ暗殺未遂でも犯人トーマス・クルックスがなぜ屋根から狙撃できたのか疑問を呈する声も強いが、断片的情報に飛びつくのではなく総合的かつ慎重な評価が必要だ。「バンテージ・ポイント」(ピート・トラビス監督、08年)は大統領暗殺現場を複数視点で描いた実験的な映画として参考になる。

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