著者のコラム一覧
碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

TBS「まどか26歳、研修医やってます!」芳根京子には“成長物語”がピッタリだ!

公開日: 更新日:

 芳根京子の連続ドラマ初主演は2015年「表参道高校合唱部!」(TBS系)だった。あれから10年。何本もの主演作を経てきたが、今回はかなりのハマり役だ。「まどか26歳、研修医やってます!」(同)である。

 ハマっているのは、ヒロインの若月まどか(芳根)が医師ではなく研修医だからだ。病院内の各科を順番に回りながら経験を積み、将来の専門を決めていく。未熟な者が切磋琢磨する修業の旅。そんな「成長物語」が芳根にはピッタリだ。

 泌尿器科では膀胱がんの女性患者(佐々木希)と出会った。入院で大切な仕事を失った彼女は絶望し、膀胱の全摘手術を拒否する。まどかは、彼女が好きな格闘技をてこにしながら前向きな気持ちを引き出していく。

 また消化器内科には、末期がんの男性患者(小久保寿人)がいた。抗がん剤治療から緩和ケアへと移行する中、まどかは患者のために何が出来るのかと悩む。それは医師とは何かという根本的な命題に通じている。

 このドラマの長所は、シリアスと軽みのバランスの良さだ。シビアな医療現場と今どきの若者である研修医の素顔を巧みに交差させていく。双方をつないでいるのは奥田瑛二や佐藤隆太らが好演する先輩医師たちだ。

 まどかが模索する「患者との向き合い方」は、そのまま現在の医療に対する問いかけでもある。

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