ROLLYさん「寅さんみたいにトランク1つとギター1本で日本中を回りたい」
亡きがらを見られたくないから「生前葬」が希望
他にやりたいことは、これも死に関連しますけど、「生前葬」ですね。62年生きてきてお世話になった方に集まっていただき、一人一人に感謝を伝えたいと。
理想は「あれ? ROLLYはいつの間にかいなくなったね」と言われる死に方です。どこに葬られているのかも誰も知らない。そんな最期が美しいと思う。だから、生前葬をして、実際に死んだ後にはお別れの会はナシにしたい。お別れの会で亡きがらの僕を見られたくないんです。それはかつてROLLYであった体だけど、もうROLLYではないから。
それより「いつの間にかいなくなった」と思われ、それぞれ最後に会った僕を記憶に残して魅力的な僕で終わりたい。
でも、その日まではやれることを頑張ってやらないとね。身軽になれたら、トランク1つとギター1本だけで寅さんみたいに日本中を回る。そしてその土地にいるバンドに僕の曲を演奏してもらい、ライブをやる。
ロックンロールの神、チャック・ベリーは世界ツアーをする時に自分だけが行き、バンドは現地のミュージシャンが事前に練習してくれていたんですよ。
僕もその考えを進めていて、沖縄でライブをする時は、Galaというライブレストランで演奏しているメンバーが一緒にやってくれる。佐賀や福岡ではNeo Fantasticというグループが事前に練習しておいてくれる。こうやって地方で演奏してくれる人が増えれば全国でチャック・ベリー方式でライブができる。
ひとりきりでは全国のショッピングモールでやっていますよ。小さい子どもからおじいさん、おばあさんの前でトークしながら演奏。レパートリーは果てしなく持っているので、目の前にいるおじいさんの顔色をうかがい、「この曲、お好きじゃないですか」「知ってるんじゃないですか」とアドリブで弾く。もうほとんど昔の流し(笑)。流しもギター1本で回るわけですから、僕もロックの流しとして全国回っていますよ。
外国の人からは「YouTube見てます」と言われます。海外の大きな会場でのライブは難しいけど、自分ひとりだけ行き、レストランでやるなら可能ですものね。行く国によって、曲を変えたり、お客さんの顔色を見て曲を変えたり(笑)。できれば外国でも現地の方と演奏できたら最高。それが夢です。
そして僕がどこかで最期を迎えた時には、「ROLLY、アルゼンチンで行方不明になったらしい」とか言われたいな。
(聞き手=松野大介)
▽旧名ローリー寺西(てらにし)。1963年9月、大阪府出身。82年からミュージシャン活動。「すかんち」のボーカル兼ギターとして人気に。音楽プロデューサーやタレント・俳優としても活躍。
◇8月12日「渋谷うたの日コンサート2025」(19時開演、SHIBUYA PLEASURE PLEASURE)
出演は大槻ケンヂ、宮田和弥。詳細はROLLY公式HPで。