最新回の朝ドラ「あんぱん」ウラの見所~薪鉄子が持つ“小道具”の細かさに気づいた? すれ違いコントは見なかったことにします
第16週「面白がって生きえ」#78
【朝ドラのツボ!】
鉄子(戸田恵子)からの電話に出た東海林(津田健次郎)は、ひとり考え込んでいた。鉄子がそんなに怒っていたのかと、慌てて謝罪するのぶ(今田美桜)。すると、東海林から意外な返答が。
その夜、嵩(北村匠海)たちと屋台で酒を飲んでいた東海林は、鉄子がのぶを引き抜こうとしていることを打ち明け、どうしたものかと考えあぐねる。同じころ、のぶもメイコ(原菜乃華)に鉄子の話をしていた。
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【本日のツボ】
「ガード下の不思議なおじさん」の記事
※※以下、ネタバレあります※※
薪鉄子からの電話に月刊「くじら」編集部一同、ガクブルです。最初に電話をとった岩清水(倉悠貴)が「編集長、薪鉄子先生からです。怒っちゅうかもしれません」と言い。不穏な空気に。それを受けた編集長の東海林が、「ついにきたか」と。その様子を不安そうに見つめるのぶ。
「『月刊くじら』最新号、読ませていただきましたよ。驚きましたー。まさかこんな記事だとは。夢にも思いませんでした」。
受話器の向こうの鉄子の言葉に、「最新号、もう読まれたそうです」と倉が言えば、「そりゃあ怒ってらっしゃるやろう」と東海林。
「若松のぶさんに代わってくれとおっしゃってます」と言う岩清水に、「私、お詫びします。ちゃんと……」というのぶの言葉を遮るように、「待てぇ。お前がお詫びしても責任とれんやろ。俺が出る」と岩清水。
この間、ずっとバックに不穏な音楽が流れ、視聴者の不安感を煽ります。
ですが、もう、薪鉄子から電話がかかってきた時点で、大半の視聴者はクレーム電話ではないだろう、と先読みしていて、この一連の「『月刊くじら』電話コント」がなんとも薄ら寒かったです。
ここ、笑わせるところだったのかもしれませんが、見事にすべっていました。
小道具の職人技に拍手。お粗末コントは見なかったことに…
そもそも、ゲラの段階で見せなかったのか、というのと、せめて献本の際に、取材に応じていただいたお礼と、記事の内容の変更を、きちんとお詫びするのではないか、と思うのですが、あの当時の地方の月刊誌はそんなにいい加減だったのでしょうか。
そんな内容に相反し、薪鉄子が手に持った『月刊くじら』最新号の記事「ガード下の不思議なおじさん 子どもたちへ贈る パンと読み聞かせ」がちらっと映ったのですが、これがちゃんとしていて、旧仮名遣いや漢字も「読み聞かせ」が「讀み聞かせ」と旧字になっているなど細かいところまで丁寧な仕事ぶりをしていて驚きました。
これぞ職人技。小道具さんの仕事に免じて、このお粗末コントは見なかったことにしましょう。
朝田家に電話はないんだっけ?
それにしても、心配なのは、釜じい(吉田鋼太郎)です。以前、メイコが家出した時は羽多子(江口のりこ)がのぶの会社に電話をしてきたのに、今回は夜分にわざわざ蘭子(河合優実)が訪ねてくるのだからよっぽどのことなのでしょう。
そういえば、あの時、朝田家には電話が導入されているのかと思っていましたが、柳井家にでも行って借りたのでしょうか。
放送回が進むにつれて、モヤモヤが加速する「あんぱん」。子役の永瀬ゆずなちゃんの時代が懐かしいです。
(桧山珠美/TVコラムニスト)