(2)「スピルオーバー」とは何か…世界中の学者が北極圏に注目

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 そもそも「スピルオーバー」とは何なのか? 長崎大学感染症研究出島特区ワクチン研究開発拠点拠点長の森田公一教授が言う。

「スピルオーバーとは、ウイルスなどの病原体が自然宿主でない別の生物に移る現象を指します。例えば新型コロナウイルスがコウモリから人間に宿主を変えたケースがこれに当てはまります」

 環境変化が急速に進むなかで生物が取る選択肢は3つしかない。環境に適応するか、移動するか、絶滅するかだ。

「環境がゆっくり変化するなら、長い年月をかけて進化により適応する生物もいます。しかし、年単位の急激な環境変化に適応するのは困難です。生存のため多くの生物は、住みやすい場所を目指して大移動しつつあります。その結果、寄生する病原体も移動し、新たな宿主と接触することで、アウトブレーク(集団感染)やパンデミックが起きる可能性があるのです」(森田教授)

 世界中の研究者がスピルオーバーの発生リスクに注目している地域のひとつが北極圏だ。氷河や凍土の融解により新たな生態環境が生まれるからだ。カナダのオタワ大学の研究チームは北極圏におけるスピルオーバーリスクを数値化する試みを行っている。

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