(2)「スピルオーバー」とは何か…世界中の学者が北極圏に注目

公開日: 更新日:

 そもそも「スピルオーバー」とは何なのか? 長崎大学感染症研究出島特区ワクチン研究開発拠点拠点長の森田公一教授が言う。

「スピルオーバーとは、ウイルスなどの病原体が自然宿主でない別の生物に移る現象を指します。例えば新型コロナウイルスがコウモリから人間に宿主を変えたケースがこれに当てはまります」

 環境変化が急速に進むなかで生物が取る選択肢は3つしかない。環境に適応するか、移動するか、絶滅するかだ。

「環境がゆっくり変化するなら、長い年月をかけて進化により適応する生物もいます。しかし、年単位の急激な環境変化に適応するのは困難です。生存のため多くの生物は、住みやすい場所を目指して大移動しつつあります。その結果、寄生する病原体も移動し、新たな宿主と接触することで、アウトブレーク(集団感染)やパンデミックが起きる可能性があるのです」(森田教授)

 世界中の研究者がスピルオーバーの発生リスクに注目している地域のひとつが北極圏だ。氷河や凍土の融解により新たな生態環境が生まれるからだ。カナダのオタワ大学の研究チームは北極圏におけるスピルオーバーリスクを数値化する試みを行っている。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  2. 2

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  3. 3

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 4

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  5. 5

    巨人大ピンチ! 有原航平争奪戦は苦戦必至で投手補強「全敗」危機

  1. 6

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 7

    衝撃の新事実!「公文書に佐川氏のメールはない」と財務省が赤木雅子さんに説明

  3. 8

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 9

    高市首相が漫画セリフ引用し《いいから黙って全部俺に投資しろ!》 金融会合での“進撃のサナエ”に海外ドン引き

  5. 10

    日本ハムはシブチン球団から完全脱却!エスコン移転でカネも勝利もフトコロに…契約更改は大盤振る舞い連発