“やせ薬”はサポート役…運動や食事の見直しなしでは健康的にやせることはできない
最近、“やせ薬”に関する話題をよく耳にします。たしかにここ1~2年、肥満症に対する医薬品が新たに発売され注目されています。
まず有名なのが「オルリスタット(商品名:アライ)」です。これは食事の脂肪吸収を抑える薬で、体に入る前に油を追い出すタイプの内服薬です。米国などでは市販薬として使用されており、日本でもOTC薬として薬局で購入することが可能となりました。効果は確かにありますが、油分がそのまま排出されるため油便や下痢、便失禁といった副作用が出やすいのも事実です。また、脂溶性ビタミンなどの吸収低下にも注意が必要です。高脂肪食が前提の薬なので、油の少ない和食中心の生活だと、効果が出にくいケースも考えられます。
他にも「セマグルチド(商品名:ウゴービ)」なども注目されています。もともと糖尿病の治療薬ですが、近年、GLP-1受容体作動薬として肥満症治療にも使用されるようになりました。週1回の注射で、食欲を抑え、血糖値を安定させるという仕組みです。ただし、吐き気、便秘、膵炎などの副作用にも注意が必要です。また、自己判断での使用は禁物で、医師の管理下で使う薬です。これら新しい薬以外にも「マジンドール(商品名:サノレックス)」など肥満症に対して30年以上前から使用されている薬も存在します。マジンドールは中枢神経に作用し、食欲を直接抑える薬です。日本では重度肥満の患者に限って処方されます。