歩行リハビリで「下肢装具」が欠かせないのはどうしてか
当院では、患者さんの歩行リハビリを行う際、歩くための「装具」を積極的に使用すると、以前にお話ししました。立って歩くことで、意識状態が清明になり、活気や認知機能も向上して、人間力を回復する意欲が高まるためです。当院には、片麻痺や高次脳機能障害、廃用症候群などで歩行できなくなった重症の患者さんが多く来院されるため、とりわけ「長下肢装具(KAFO)」を活用した歩行訓練が重要になります。
たとえば重度の麻痺がある患者さんの場合、立ってもらうためにはまず足首を固定しなくてはなりません。足首を固定しても、今度は麻痺がある側の足の膝が折れてしまって崩れるので、膝も固定する必要があります。ですから、立って、歩いてもらうためには、足首と膝を同時に固定できる、足首から太ももの付け根まである長下肢装具が欠かせないのです。
長下肢装具をつければなんとか立てるようになります。この際、大切なのは洗練された長下肢装具を作ってくれる義肢装具士との連携です。バランスがよく、装着感もよい装具でないと積極的な立位歩行訓練はできません。