「『声』の言語学入門」川原繁人著
「『声』の言語学入門」川原繁人著
音声学の入門テキスト。
人間社会では、長らく対面でのコミュニケーションが当たり前だった。その頃は、音声だけでなく表情・身ぶり・手ぶりすべてが自分の意図を伝える道具だった。
しかし、電話の登場によって「音声のみ」のコミュニケーションが始まり、今ではインターネットの普及により、書き言葉でのやりとりがコミュニケーションの主要部分を占めるようになった。歴史をさかのぼれば、文字の誕生は人間言語が生まれたはるか後で、言語の本質は音声であり、文字ではないと著者は言う。
本書は、これまで著者が交流してきた俳優の上白石萌音さんや歌人の俵万智さん、ラッパーのZeebraさんらとのエピソードを紹介しながら、音声学の本質について解き明かす。 (NHK出版 1133円)