「時代に挑んだ男」加納典明(32)平凡パンチの2人の編集者が過激性、渇仰を引き出してくれた
根負けして撮ったヌードが売れて…
加納「うん。まだ俺の2世代上の写真家たちが撮ってた時代だ。いかに美しく撮るかという時代だった。ずっと俺は『嫌だ』と言ってたんだよ、椎根和に。『平凡パンチなんて世の中に害毒を流している雑誌じゃん、嫌だよ、俺は撮りたくない』って」
増田「椎名さんはどう仰いました」
加納「いや。加納さん。そんなこと言わないで撮ってくれと。しつこくてね。『頼むよ、頼むよ』って。絶対に引かないの。それで俺は『しょうがないな』って」
増田「典明さんの写真が掲載された号の平凡パンチは売れたんですか」
加納「2本か3本撮ったんだけど、けっこうな数が売れたらしい」
増田「それでニューヨークへ渡る橋が架かったと。1969年です。まだ海外が遠い時代です」
加納「異国も異国。めちゃくちゃ遠い時代。『行かないか』と。それでニューヨークが遠い時代だからね、他のギャラリーや複数のところからも話がきた。それでパンチの仕事を終えてからも少し残って撮ってきた」