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スージー鈴木音楽評論家

1966年、大阪府東大阪市生まれ。早大政治経済学部卒業後、博報堂に入社。在職中から音楽評論家として活動し、10冊超の著作を発表。2021年、55歳になったのを機に同社を早期退職。主な著書に「中森明菜の音楽1982-1991」「〈きゅんメロ〉の法則」「サブカルサラリーマンになろう」「大人のブルーハーツ」など。半自伝的小説「弱い者らが夕暮れて、さらに弱い者たたきよる」も話題に。日刊ゲンダイの好評連載をまとめた最新刊「沢田研二の音楽を聴く1980-1985」(日刊現代/講談社)が絶賛発売中。最新刊「日本ポップス史 1966-2023: あの音楽家の何がすごかったのか」が11月に発売予定。ラジオDJとしても活躍。

新しい音楽を漂わせた才能が虎視眈々と桂三枝の座を狙っていた

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 そして、そんなイジられ役の中から、才能を開花させ、大きく羽ばたいていったのが、ご存じ明石家さんまである。

 この原稿のために調べたら桂三枝、生まれは1943年で実は戦前。もちろん団塊の世代よりも年上だ。逆に明石家さんまは55年生まれ、何と12歳差。この違いは大きい。だから当時32歳の三枝が、戦後生まれ、20代の若手をイジる立場になったのも、当然といえば当然のことだったのだ。

 そんな年齢のせいだろうか。桂三枝には音楽のイメージがない。では当時、ニューミュージック的な存在は、誰だったのか。それはもう笑福亭鶴瓶(51年生まれ)に尽きる。自身のラジオ番組MBS「ヤングタウン」(月曜日)で、フォークの曲を積極的にかけていたことが思い出される。さらに、のちの明石家さんまからは、矢沢永吉サザンオールスターズなど、ロックのにおいがした。

 新しい音楽を漂わせた新しい才能が、虎視眈々と三枝の座を狙っている。そんなことを知ってか知らずか「オヨヨ」「グー」などの奇声を発しながら、西のテレビ界のMVPとして君臨している32歳。それが「1975年の桂三枝」だった。

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