「夏蜜柑とソクラテス」新井紀子著

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「夏蜜柑とソクラテス」新井紀子著

 著者の家には夏蜜柑の木がある。テレビのインタビュー番組で、その夏蜜柑で作ったマーマレードを持参して作り方を紹介した。すると、「どうしてそこまで大変なことをするのですか」と聞かれ、「自分に負荷をかけたいから」と言ってしまった。著者には「楽をすると大切な何かを失うに違いない」という信念がある。文字という便利なものが発明されたとき、「得たなら必ず何かを失う」とソクラテスは戒めた。その時点では何を失うかは知りようがないが、人間は何十年、何世紀もかけてその代償を支払うことになると著者は考える。

 ほかに「人工知能が情緒を感じるようになる日」など、数理論理学者がつづったユニークなエッセー。

(草思社 1870円)

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