「心アミロイドーシス」の新たな治療薬が続々と登場している
「心アミロイドーシス」は、アミロイドという異常なタンパク質が心臓に沈着して機能障害を来す病気で、進行すると重度の心不全などを引き起こし、非常に予後が悪い疾患といわれています。かつては診断が難しく、発見や治療が遅れてしまうケースが多かったのですが、診断技術や治療薬の進歩によって、光が見えてきました。前回は新たに活用されている検査法を取り上げましたが、今回は治療薬の進歩についてお話しします。
これまで心アミロイドーシスの治療は、薬を使った心不全などに対する対症療法が主体でした。それが近年、心アミロイドーシスそのものの進行を抑える治療薬が続々と開発されているのです。
まずは、心アミロイドーシスの原因となるアミロイドの蓄積を抑制して進行を抑える「タファミジス」(商品名:ビンダケル/ビンマック)が登場し、日本では2019年にトランスサイレチン(ATTR)型の心アミロイドーシスに対する治療薬として承認されました。
心アミロイドーシスで長らく闘病を続け、2022年に亡くなられた元プロレスラーのアントニオ猪木さんも、このタファミジスを使用していたと記憶しています。


















