著者のコラム一覧
本多正識漫才作家

1958年、大阪府生まれ。漫才作家。オール阪神・巨人の漫才台本をはじめ、テレビ、ラジオ、新喜劇などの台本を執筆。また吉本NSCの名物講師で、1万人以上の芸人志望生を指導。「素顔の岡村隆史」(ヨシモトブックス)、「笑おうね生きようね いじめられ体験乗り越えて」(小学館)などの著書がある。新著「1秒で答えをつくる力──お笑い芸人が学ぶ『切り返し』のプロになる48の技術」(ダイヤモンド社)が発売中。

「ライオン」と呼ばれた吉本興業元会長の林正之助さんと初めて話した時のこと

公開日: 更新日:

 吉本興業の元会長で「ライオン」と呼ばれていた林正之助さん。伝説の名物会長と「一度は話をしてみたい」とずっと思っていましたが、そんな機会はなかなか訪れませんでした。

 それが現実のものになったのは1987年11月に「なんばグランド花月」がオープンしてほどない頃でした。会社の玄関入り口にあるエレベーターに乗り込まれた林会長を目にした私はとっさに「今や!」と思い、閉まりかけのエレベーターに飛び乗り楽屋のある3階のボタンを押しました。そして初めて気づいたように「おはようございます」と挨拶をすると、杖を私の方に突き出し鋭い視線で睨みつけ、明らかに怒気のこもった口調で「君はウチ(吉本)の社員か?」と聞かれたのです。心臓が口から飛び出しそうなぐらいドキドキしながら「いえ、阪神巨人さんやいくよくるよさんのネタを書かせていただいている本多と申します」と答えると、鋭かった視線がやさしいものに変わり、杖を下ろして「ウチの芸人がお世話になっております。おもろいもんを書いてやってください」と深々と頭を下げられたのです。

 思いもよらない言葉にどう返事をしたのかも覚えていませんが、エレベーターを3階で降りた私は「失礼します!」と扉が閉まるまで頭を下げていました。

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