今一番「誠実で優しい」男が似合う俳優・前原滉 包容力とサポート力を併せ持つ
どちらも11月14日から公開される飯塚花笑監督の「ブルーボーイ事件」と坂下雄一郎監督の「君の顔では泣けない」で、前原滉はヒロインの恋人、あるいは夫を演じている。
「ブルーボーイ事件」は高度経済成長期真っただ中にあった1960年代の日本を背景に、性別適合手術(当時は性転換手術)を受けたトランスジェンダー(当時はブルーボーイと呼ばれた)のサチ(中川未悠)が、手術を行ったために逮捕された医師の裁判に、証人として出廷する人間ドラマ。性的マイノリティに対する差別が激しかった当時の状況をリアルに映し出し、サチと仲間たちが社会の無理解と闘う姿が描かれている。前原滉は、サチが以前は男性だったことも知りながら、彼女を愛し、また裁判の証人になることで、マスコミからもバッシングを受ける彼女を、献身的に支える恋人の若村篤彦役。恋人とは書いたが事実的には夫で、篤彦はマスコミだけでなく、自分の家族や会社からもサチとの仲を理解されず、それでも彼女を守り通していく。
「君の顔では泣けない」は第12回小説野性時代新人賞を受賞した君嶋彼方の小説を、芳根京子と高橋海人主演で映画化したもの。高校1年生の15歳の時、体が入れ替わった男女の15年間を描いている。体が入れ替わった2人にとって、相手は運命共同体であり、自分の体を乗っ取った憎むべき相手であり、自分の心情を最も理解してくれる人間でもある。