今一番「誠実で優しい」男が似合う俳優・前原滉 包容力とサポート力を併せ持つ

公開日: 更新日:

 そんな2人の15年間にはさまざまな出来事が起こるのだが、高橋演じる“陸”の心を持った芳根演じる“まなみ”は、20代で結婚、妊娠する。その結婚相手が前原滉扮する涼。まなみには早産の恐れがあって体調を崩し、死の恐怖にとらわれる。そこで彼女(心は彼)が電話で助けを求めるのが、見た目は陸のまなみなのだが、そこには自分が死ねば相手の体も死んでしまうことに対する、申し訳ないという気持ちがある。そんなまなみの複雑な心中を知らずに、ひたすら彼女に優しく接する涼。不安から来るまなみの罵詈雑言にも耐え、それでも彼女の心を落ち着かせようと優しく笑いかける、涼の表情が切ない。

 トランスジェンダーの女性にも、男性と心が入れ替わった女性にも、無償の愛を傾けるキャラクターを演じた前原滉。またそんな役柄が非常に似合う、今「誠実で優しい」男性をやらせたら右に出る者がいない、ピュアな存在感が際立つ30代の逸材である。

(金澤誠/映画ライター)

  ◇  ◇  ◇

 金澤誠氏の映画記事はこちら。関連記事【もっと読む】中国映画「731」はサスペンス逃亡劇と日本人のパロディーで終わるのか…もあわせて読みたい。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  2. 2

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  3. 3

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 4

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  5. 5

    巨人大ピンチ! 有原航平争奪戦は苦戦必至で投手補強「全敗」危機

  1. 6

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 7

    衝撃の新事実!「公文書に佐川氏のメールはない」と財務省が赤木雅子さんに説明

  3. 8

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 9

    高市首相が漫画セリフ引用し《いいから黙って全部俺に投資しろ!》 金融会合での“進撃のサナエ”に海外ドン引き

  5. 10

    日本ハムはシブチン球団から完全脱却!エスコン移転でカネも勝利もフトコロに…契約更改は大盤振る舞い連発