横浜流星、『国宝』はここから? “圧巻の演技”を見せた出演作4選。吉沢亮とは2012年に共演、肉体美の披露も
公開からすでに4カ月以上が経過しながらも、いまだ連日超満員の映画『国宝』。このままの勢いで、歴代邦画実写史上1位の興行成績を叩き出すことが、ほぼ確実視されている状態です。
そんな同作において、吉沢亮さんと共に主役を張った横浜流星さんは、NHK大河ドラマ『べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~』も絶賛放送中と、2作同時進行で全く異なる役どころを見事に演じ切っています。
その役者魂には頭が下がるばかりですが、横浜さんのその演技にかける情熱は、どのような経緯を辿って出来上がってきたものなのでしょうか? 今回は、横浜流星さんの『国宝』へと繋がった4つの出演作をご紹介します。
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吉沢亮との共演!『仮面ライダーフォーゼ』(2012)
横浜さんがブレイクするきっかけとなった作品と言えば、2014年から2015年まで放映された特撮ドラマ『烈車戦隊トッキュウジャー』を挙げるファンが多いかと思いますが、実は横浜さんは同作以前にも特撮ドラマに出演しており、なんと!吉沢亮さんとの共演を果たしているのです。
その作品というのが、2012年に放映された『仮面ライダーフォーゼ』。本作で横浜さんが演じたのは、吉沢さん演じる朔田流星の親友である井石二郎役。
共に拳法の修行の日々を繰り返し、お互いが切磋琢磨し合う、流星にとっては唯一無二の親友でしたが、ある時、怪人化するために使用されるゾディアーツスイッチを使ってしまったことから昏睡状態に陥ってしまいます。
そんな二郎を救うために、流星は仮面ライダーメテオになることを決意する…という劇中のキーパーソンの一人を横浜さんは演じています。
出番自体はそれほど多いわけではなく、ほぼほぼ病院で眠っているシーンではあるのですが、『国宝』同様に吉沢さん演じるキャラクターに大きな影響を及ぼすキャラクターとして機能しており、当時からすでに相性の良さを見せつけていました。
吉沢さんいわく、当時から横浜さんは役作りにかける情熱が凄かったとのこと。
鍛え上げられた肉体美『きみの瞳が問いかけている』(2020)
2011年の韓国映画『ただ君だけ』を『アオハライド』(2014)などで知られる三木孝浩監督がリメイクした本作は、過去に大きな罪を犯したキックボクサーのアントニオ(横浜流星)と事故で視力を失いながらも懸命に生きる柏木明香里(吉高由里子)の姿を描いています。
『国宝』で血のにじむような役作りを敢行し、歌舞伎役者としての苦悩と葛藤、そして女形としての圧巻のパフォーマンスを披露した横浜さん。その役にかける情熱が形成された作品が本作なのではないでしょうか。
日本の映画やドラマというのは、他国に比べて役作りの期間が短いと言われています。そんな中で、横浜さんはキックボクサーという役どころに説得力を持たせるため、約2か月にわたり、ジムに通いプロキックボクサーからの指導を受けました。
特訓に次ぐ特訓の日々を送った横浜さんは、撮影開始前に10kgの体重増量に成功。劇中では鍛え上げられた肉体美を惜しみなく披露しています。
特訓の甲斐あって、格闘シーンにおけるフォームだけに限らず、歩き方や仕草にまでボクサーらしさが現れるようになり、しっかりとリアルなボクサー像を体現することに成功しています。
国宝監督とタッグ『流浪の月』(2022)中瀬亮役
『国宝』の監督を務めた李相日監督と横浜さんは2022年の映画『流浪の月』でもタッグを組んでいます。
本作は、第17回本屋大賞を受賞した凪良ゆうによる同名小説を原作に、誘拐犯の男と誘拐された少女の恋愛とも友情とも言えない関係性を描いた一本。横浜さんは、広瀬すずさん演じる誘拐された過去を持つ女性・更紗のボーイフレンドである中瀬亮役に扮しています。
比較的、悪役のイメージが弱い横浜さんが、本作では女性に対して暴力をふるい、更紗をいつまでも束縛し続ける最悪の彼氏を見事に演じ切っています。実家は農家で土地持ち、上場企業の正社員というハイスペック男が携える凶暴性を体現しているのです。
李監督は俳優のイメージにとらわれない新たな境地を魅せることに長けた監督であり、横浜さんも本作で俳優として一つ成長できたと後に語っている通り、物静かでクールな印象だった横浜さんが声を荒げ、感情的になる姿は必見!
本作は第46回日本アカデミー賞において、優秀作品賞を含む6冠を達成。横浜さんも優秀助演男優賞を受賞する快挙を成し遂げましたが、当時、李監督からは「まだ早い」という言葉をもらったそうです。
表現者の苦悩が通じる『線は、僕を描く』(2022)
『国宝』では、女形として一つ一つの所作を指先に至るまで繊細に表現しつくした横浜さん。繊細な表現が求められる現場はさぞ苦労したかと思いますが、実は遡ること3年前、横浜さんは水墨画という芸術を題材にした作品で‘‘繊細な表現''を経験していたのです。
本作は、家族を津波で亡くし、人生に希望を見出せなくなってしまった一人の青年が、水墨画を通して、愛や幸せを手にしていく姿が描かれます。
劇中で横浜さんは、ただひたすらに上手くなりたいという純粋な気持ちから筆を持ち続け、水墨画を描き続けます。一本の線を描くことにさえ苦悩しながら、自分にしか出せない表現を追求し続けるのです。
これは『国宝』の大垣俊介と重なる部分であり、同作では世襲である俊介が本来ならば吉沢亮さん演じる喜久雄よりも跡継ぎに相応しい人間でありながら、自らの力が及ばずに「もっと上手くなりたい」と泣き崩れる場面がありました。
とことん芸術を追求するその真っすぐな眼差しと繊細な表現は、『線は、僕を描く』で培われたものだと言っても過言ではないのです。
まさに俳優という職業は絵描きのように、キャラクターの輪郭を繊細なタッチで表現し、描いては修正、描いては修正の繰り返し…そういった部分も演技に反映させたのかもしれません。
本作を鑑賞後に、もう一度『国宝』を鑑賞すると、あの「芸があるやないか」という名セリフにより一層の重みを感じること請け合いです。
運命が味方する天才
映画『国宝』や大河ドラマ『べらぼう』の影響で、今や日本を代表する俳優となった横浜流星さん。
まるで、この運命に導かれていたかのように、これまでの経験が活かされ、絶妙なタイミングでの『国宝』出演だったことが伺えます。やはり天賦の才を持った俳優には運命が味方するものなのですね。
(zash)