複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業
75年12月、新幹線東京駅での暴行事件の影響もあってか、沢田研二オールキャリアでの最大ヒットの割には、この年のレコ大での扱いは小さかったが(歌唱賞にも選ばれていない)。しかし半世紀後のこちらのレコ大では、そのメロディーを大きく評価したい。
「編曲賞」は、荒井由実「あの日にかえりたい」でどうだろう。編曲は松任谷正隆によるもの。
75年は、ユーミン革命の年だった。荒井由実という新しい才能を、世の中が受け入れ「あの日にかえりたい」と、彼女の手によるバンバンの「『いちご白書』をもう一度」がチャートの首位に輝いた年。
そんな「ユーミン・ブーム」の中で、世の中は「あの日にかえりたい」のあのボサノバ・アレンジをも受け入れた。そしてその基盤が、翌年の丸山圭子「どうぞこのまま」や、翌々年の尾崎亜美「マイ・ピュア・レディ」など、女性シンガー・ソングライターによる一連のボサノバ・ヒットにつながってくるのだ。
つまりは、日本の音楽シーンが、複雑なコードと複雑なリズムを受け入れた。このことが最初の一滴となり、当世流行の「シティーポップ」という大河に流れていく。松任谷正隆の功績は、とても大きい。


















