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スージー鈴木音楽評論家

1966年、大阪府東大阪市生まれ。昭和歌謡から最新ヒット曲まで幅広いジャンルの楽曲を、社会的な視点からも読み解く。主な著者に「中森明菜の音楽1982-1991」「大人のブルーハーツ」「日本ポップス史 1966-2023」など。半自伝的小説「弱い者らが夕暮れて、さらに弱い者たたきよる」も話題に。日刊ゲンダイの好評連載をまとめた「沢田研二の音楽を聴く1980-1985」、最新刊「日本の新しい音楽1975~」は大好評。ラジオDJとしても活躍。

複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

公開日: 更新日:

 75年12月、新幹線東京駅での暴行事件の影響もあってか、沢田研二オールキャリアでの最大ヒットの割には、この年のレコ大での扱いは小さかったが(歌唱賞にも選ばれていない)。しかし半世紀後のこちらのレコ大では、そのメロディーを大きく評価したい。

「編曲賞」は、荒井由実「あの日にかえりたい」でどうだろう。編曲は松任谷正隆によるもの。

 75年は、ユーミン革命の年だった。荒井由実という新しい才能を、世の中が受け入れ「あの日にかえりたい」と、彼女の手によるバンバンの「『いちご白書』をもう一度」がチャートの首位に輝いた年。

 そんな「ユーミン・ブーム」の中で、世の中は「あの日にかえりたい」のあのボサノバ・アレンジをも受け入れた。そしてその基盤が、翌年の丸山圭子「どうぞこのまま」や、翌々年の尾崎亜美「マイ・ピュア・レディ」など、女性シンガー・ソングライターによる一連のボサノバ・ヒットにつながってくるのだ。

 つまりは、日本の音楽シーンが、複雑なコードと複雑なリズムを受け入れた。このことが最初の一滴となり、当世流行の「シティーポップ」という大河に流れていく。松任谷正隆の功績は、とても大きい。

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