松田龍平「探偵さん、リュック開いてますよ」3つの要素が溶け合って生まれる“重力の軽さ”
クセになるドラマだ。強い中毒性と言ってもいい。金曜深夜の松田龍平主演「探偵さん、リュック開いてますよ」(テレビ朝日系)である。
主人公の一ノ瀬洋輔(松田)は探偵&発明家。地方の温泉街にある、実家の廃業した旅館に住んでいる。茫洋としていて、何を考えているのか読み取れない不思議な男だ。
そこに殺人事件が起きる。しかも犯人は人間ではない。何と人格を持つ「温泉のお湯」だ。洋輔はそのお湯と会話できる「OU(お湯)翻訳」なる道具を発明。犯行動機を聞き出したりする。
つまり探偵ドラマという枠から大きくはみ出しているのだ。普通なら伏線やロジックを積み上げていくところを、あえてスカスカにしている。事件は起きるが、謎解きは物語の中心ではない。代わりにあるのは、どこか時間の流れが遅くなったような脱力感と、ふんわりとした空気感だ。
また、「演じている」というより、ただそこに「いる」かのような松田のたたずまいが、このドラマの雰囲気を決定づけている。事件が解決してもしなくても、洋輔は変わらない。見る側はその変わらなさに安堵し、毎週この町に帰ってきてしまう。
探偵ドラマの形式を借りながら、ジャンルの外側で遊んでいる作品。探偵・温泉街・発明というバラバラな要素が溶け合って生まれる“重力の軽さ”を味わうドラマ。それがクセになるのだ。



















