『ティル・ゼア・ウォズ・ユー』進境の著しさを感じるジョージのギターソロ
アルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ』(1963年11月22日)⑦
■『ティル・ゼア・ウォズ・ユー』
この時期のビートルズはロックンロールバンドで、加えてモータウンに代表される黒人音楽のカバーバンドでもあったのだが、そんな中、こういうミュージカル音楽もカバーすることで、バンドとしての深みを増している。
前作『プリーズ・プリーズ・ミー』における『蜜の味』(ア・テイスト・オヴ・ハニー)同様、ミュージカル担当はポール。
そのポールの歌とベースに加えて、リンゴはドラムスではなくボンゴ。ジョンがアコースティックギター、そしてジョージがガット(クラシック)ギターという簡素な編成だが、サウンドの完成度は高く、安心して聴いていられる。
特にジョージによるガットギターのイントロや中盤のギターソロ(試聴リンク再生時間「1:10」から)は、この時期のビートルズにとってのまさに新境地。またジョージのギタリストとしての進境著しいところを感じさせるものだ。
そして次のアルバム『ハード・デイズ・ナイト』では、この『ティル~』とほぼほぼ同じ編成で、『アンド・アイ・ラヴ・ハー』という自作曲を録音することとなる。
なお『ティル~』と『アンド~』のギターソロは、楽器屋のガットギター売り場で試奏される曲のツートップではないか。もうひとつ挙げるなら、やはり『禁じられた遊び』。
■『ユー・リアリー・ゴッタ・ホールド・オン・ミー』
前年1962年発表の原曲は、ジョンとジョージが好んでいたスモーキー・ロビンソンが率いるザ・ミラクルズによるもの。その2人が、憧れの曲をハモりながら歌っている。
これまたモータウンの前身的レーベルといえるタムラからリリースされたもので、このアルバムが、モータウンの紹介&翻訳装置になっていたことを痛感する。
ちなみに原曲のタイトルは『ユー「ヴ」(You've)リアリー・ゴッタ・ホールド・オン・ミー』と現在完了形になっているが、ビートルズは『ユー・リアリー~』と過去形。しかし歌詞は「ユー『ヴ』~」となっていて、このあたりはよく分からないというか、適当というか。
その後、日本ではキャロルがカバーしたことでも知られることとなる。モータウンはアメリカのデトロイトのレーベルで、そこから生まれた曲がイギリス・リバプールを経由して、日本の京浜工業地帯で誕生したキャロルの矢沢永吉とジョニー大倉がハモりながら歌うという世界一周歴史絵巻である。
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