「時代に挑んだ男」加納典明(52)「写真が趣味の看守に助言したら『表彰された』って喜んでた(笑)」
AKBを裸でズラリと並べたら面白いね
加納「誰でもいいですよ」
増田「AKB48のメンバー全員を撮るとか?」
加納「AKBね……。たしかに裸でずらりと並べたらそれはそれで面白いかもね。AKBには詳しくないけど48人というのは面白い」
増田「全員横に並べて?」
加納「横でも縦でも」
増田「典明さんがレンズを向けたくなるような被写体って、AKBみたいな感じの存在になる気もしますね。僕も全員知らないんですけど。というか、もう全員同じ顔に見えてしまうんですよ。もう歳ですかね(笑)」
加納「言えるね、それは(笑)」
増田「本当に区別がつかないんですよ。“本物のアイドル”が生まれにくい時代になっちゃいましたよね」
加納「そうですね。あれって誰が仕掛けたんだっけ? オーディション形式で始めたのは」
増田「秋元康さんですね」
加納「秋元は『良くも悪くも秋元康』の部分がありますね」
増田「昔からですよね。おニャン子クラブの頃から。 ただおニャン子の頃はまだ本物のアイドルが登場しやすかった」
加納「そうですね。そういう時代でしたね」
増田「みんな記憶に残ってますからね。あの番組が始まったときはびっくりしましたね。今、おニャン子を撮るというのもありかもですね」
加納「ああ。それもありかもね。それを考えるといろんな人が浮かんでくるな」
増田「ぜひ。これからの勝負作を楽しみにしています」
加納「うん、そうだね。頑張るよ」
(第53回につづく=火・木曜掲載)
▽かのう・てんめい:1942年、愛知県生まれ。19歳で上京し、広告写真家・杵島隆氏に師事する。その後、フリーの写真家として広告を中心に活躍。69年に開催した個展「FUCK」で一躍脚光を浴びる。グラビア撮影では過激ヌードの巨匠として名を馳せる一方、タレント活動やムツゴロウ王国への移住など写真家の枠を超えたパフォーマンスでも話題に。日宣美賞、APA賞、朝日広告賞、毎日広告賞など受賞多数。
▽ますだ・としなり:1965年、愛知県生まれ。小説家。北海道大学中退。中日新聞社時代の2006年「シャトゥーン ヒグマの森」でこのミステリーがすごい!大賞優秀賞を受賞してデビュー。12年「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で大宅壮一賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞。3月に上梓した「警察官の心臓」(講談社)が発売中。現在、拓殖大学客員教授。