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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

前立腺がん…転移が少ないタイプは放射線が標準治療

公開日: 更新日:

 前立腺がんで闘病中のバイデン前米大統領(82)が放射線治療を受けていると報じられました。治療は5週間だそうです。今回の治療選択には重要なポイントが含まれているので、掘り下げてみましょう。

 バイデン氏の個人事務所が今年5月に診断を公表したとき、がんの悪性度を調べる検査のスコアが悪く、骨への転移もあったといいます。「がんはホルモン感受性のあるタイプで、治療はおそらく可能だろう」とも説明しました。

 こうした発表や報道を踏まえると、まずホルモン治療が行われて、画像診断の結果、骨転移が消えたことで、放射線治療に進んだと考えるのが妥当でしょう。ポイントはその放射線治療です。

 実は、前立腺がんの転移があると、症状がない限り、原発の前立腺への放射線治療は行いませんでした。ホルモン治療や抗アンドロゲン薬、抗がん剤など全身治療が基本で、原発巣への放射線照射は「局所治療に過ぎない」とみなされていたのです。

 英国中心に行われたSTAMPEDE試験によって、その考え方が覆されました。対象は、転移があり、ホルモン治療が効くタイプの前立腺がん患者2000人超。全員がホルモン治療を受け、半数には放射線治療が追加されました。

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