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増田俊也小説家

1965年、愛知県生まれ。小説家。北海道大学中退。中日新聞社時代の2006年「シャトゥーン ヒグマの森」でこのミステリーがすごい!大賞優秀賞を受賞してデビュー。12年「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で大宅壮一賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞。3月に上梓した「警察官の心臓」(講談社)が発売中。現在、拓殖大学客員教授。

「時代に挑んだ男」加納典明(49)猥褻図画販売容疑で逮捕、「取り調べで泣いたとかって、あんなの大嘘だよ」

公開日: 更新日:

 作家・増田俊也氏による新連載スタート。各界レジェンドの生涯を聞きながら一代記を紡ぐ口述クロニクル。第1弾は写真家の加納典明氏です。

  ◇  ◇  ◇ 

増田「ムツゴロウ王国から帰ってきて再び東京でブレークしていた頃、つまり第2次絶頂期に創刊したのが写真集『月刊THE TENMEI』でした。1993年ですね」

加納「そう」

増田「それで『きクぜ!』が1994年。極めて過激な作品を次々と発表されます」

加納「『月刊THE TENMEI』は毎月80万部も刷ってたんだよ。俺1人で撮影してだよ。それを月刊で出してたんだから。毎月80万部。これ、すごい数字なんだよ」

増田「わかります。僕も出版の世界にいますので。1冊いくらだったんですか」

加納「たしか580円だったと思う。きクぜ! は3200円だったかな」

増田「だとすると『TENMEI』だけで毎月数千万円……」

加納「計算したことないけどそれくらいあったろうね」

増田「年収は5億円くらいですか?」

加納「うん。あったんじゃないかな」

増田「自分で現金下ろしたりしないから正確にはわからないと。そもそも通帳に記帳とかは?」

加納「してないよ、そんなの。丼でどんどん使うから」

増田「車50台っていうのも肯けます」

加納「あとバイクね」

増田「そのころですね、警視庁に逮捕されたのは。猥褻だということで」

加納「1995年だね。あんまり派手に売れるから悔しかったんじゃないかな」

増田「警察が?」

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