「時代に挑んだ男」加納典明(49)猥褻図画販売容疑で逮捕、「取り調べで泣いたとかって、あんなの大嘘だよ」
作家・増田俊也氏による新連載スタート。各界レジェンドの生涯を聞きながら一代記を紡ぐ口述クロニクル。第1弾は写真家の加納典明氏です。
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増田「ムツゴロウ王国から帰ってきて再び東京でブレイクしていた頃、つまり第2次絶頂期に創刊したのが写真集『月刊THE TENMEI』でした。1993年ですね」
加納「そう」
増田「それで『きクぜ!』が1994年。極めて過激な作品を次々と発表されます」
加納「『月刊THE TENMEI』は毎月80万部も刷ってたんだよ。俺1人で撮影してだよ。それを月刊で出してたんだから。毎月80万部。これ、すごい数字なんだよ」
増田「わかります。僕も出版の世界にいますので。1冊いくらだったんですか」
加納「たしか580円だったと思う。きクぜ! は3200円だったかな」
増田「だとすると『TENMEI』だけで毎月数千万円……」
加納「計算したことないけどそれくらいあったろうね」
増田「年収は5億円くらいですか?」
加納「うん。あったんじゃないかな」
増田「自分で現金下ろしたりしないから正確にはわからないと。そもそも通帳に記帳とかは?」
加納「してないよ、そんなの。丼でどんどん使うから」
増田「車50台っていうのも肯けます」
加納「あとバイクね」
増田「そのころですね、警視庁に逮捕されたのは。猥褻だということで」
加納「1995年だね。あんまり派手に売れるから悔しかったんじゃないかな」
増田「警察が?」