「急性心筋梗塞」で女性の死亡率が高い理由と対策
急性心筋梗塞の死亡率は男性よりも女性の方が高い──。そんな日本の研究報告があります。
東北大のチームが1985~2014年に宮城県内における心筋梗塞で入院した患者を性別や年代別に分析したところ、入院から30日以内の死亡率は、1985年が女性22.0%、男性16.0%で、2014年は女性12.6%、男性6.5%と約2倍の差がありました。ちなみに、2023年は女性11.7%、男性は7.7%だったといいます。急性心筋梗塞の患者数は女性に比べて男性の方が約3倍多いのですが、死亡率は女性の方が高いのです。
この研究だけでなく、世界的に見ても、かねて急性心筋梗塞による死亡率は女性で高い傾向にあります。指摘されている理由のひとつが女性ホルモンの影響です。
急性心筋梗塞は、動脈硬化などが原因で冠動脈に血栓が詰まり、心臓の筋肉に酸素や栄養が行き渡らなくなる病気で、そのまま放置すると心臓のポンプ機能が障害される程度によっては死に至ることもあります。女性ホルモンのひとつであるエストロゲンは血管内皮の保護作用があるため、その分泌が十分な時期には男性に比べて心筋梗塞にかかりにくいといえます。