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増田俊也小説家

1965年、愛知県生まれ。小説家。北海道大学中退。中日新聞社時代の2006年「シャトゥーン ヒグマの森」でこのミステリーがすごい!大賞優秀賞を受賞してデビュー。12年「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で大宅壮一賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞。3月に上梓した「警察官の心臓」(講談社)が発売中。現在、拓殖大学客員教授。

「時代に挑んだ男」加納典明(52)「写真が趣味の看守に助言したら『表彰された』って喜んでた(笑)」

公開日: 更新日:

 作家・増田俊也氏による新連載スタート。各界レジェンドの生涯を聞きながら一代記を紡ぐ口述クロニクル。第1弾は写真家の加納典明氏です。

  ◇  ◇  ◇ 
 
増田「木村一八*のほうが先に入っていたんですか?」 
 
※木村一八(きむらかずや):1969年生まれの俳優。漫才師横山やすしの長男。テレビドラマ『毎度おさわがせします』や映画『シャコタン☆ブギ』などで人気を得て“父の七光”から完全脱却して人気アイドルとなる。しかし1988年、19歳時にタクシー運転手に暴行を加え傷害容疑で逮捕されて一時期は表舞台から消えた。現在は地道な芸能活動で再び人気が上がっている。
 
加納「そうそう」 

増田「一八はタクシー運転手を殴ったんでしたっけ? いや、あれはお父さんの横山やすしか。いろいろあった親子でしたね」

加納「一八とは格子越しに話しましたよ。それで『おまえ、大丈夫か?』って聞いたら『はい、大丈夫です』って言ってた」

増田「先に一八が入ってたと」

加納「いや。違ったかな。混乱してきた。とにかく相前後して入ったんだよ。ラジオ体操とか一緒にやらされてね(笑)。一八も面白かったけど、それより、俺、同房の人とか、そういう人たちにも興味があった。だから人を殺したという人間ともよく話したよ」

増田「普通は怖くなると思いますが、さすが典明さんですね」

加納「やっぱり人生勉強になるからね」

増田「そうですね」

加納「そういえば看守で写真が趣味の人がいてさ。『今度、仕事でコンテストがあるんですが、どう撮ればいいんでしょう』って聞いてくるからアドバイスしたんだよ。そしたら表彰されたんだって喜んでさ(笑)」

増田「それもいい話ですね」

加納「うん。楽しかったよ」

増田「塀のなかは意外に快適だったと(笑)」

加納「はははは(笑)」

増田「今はもう、すっかりヘアヌードも解禁されてしまいましたけど、もし今撮るとしたら、どんなエロスを表現しますか?」 

加納「撮ってみなきゃわからないですね。ぜひ撮らせてくださいよ。何が出てくるかはお楽しみですよ。他とは違うものになります。変な綺麗ごっこはしないし」

増田「今、誰を撮ってみたいですか?」

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