高齢者の「考えすぎ」と認知機能の関係…心のクセが脳に影響?
認知機能の低下は、高齢者にとって身近な健康問題のひとつです。認知機能が低下する要因はさまざまですが、近年では不安や抑うつの症状など、心理的な健康状態との関連性が指摘されていました。
「嫌なことを何度も思い出してしまう」などの、過去の否定的な思考の堂々巡りは「反芻(はんすう)」と呼ばれます。高齢者ではまた、生活不安から将来を過剰に心配してしまうことも多いでしょう。そのような中、心配や反芻と認知機能の関連性を検討した研究論文が、精神医学の専門誌に2025年6月2日付で掲載されました。
中国で行われたこの研究では、60歳以上の高齢者424人が対象となりました。研究参加者の心配や反芻は、生産性や心理的能力に関する15項目の質問票を用いて60点満点(点数が高いほど心配や反芻が強い)で評価されました。認知機能は、注意力や記憶、言語能力などに関する11項目の質問票を用いて30点満点(点数が高いほど良好)で評価されました。
両者の関連性は、心配や反芻の点数に対する標準偏差(研究参加者の平均点からの標準的な乖離度)あたりの認知機能の点数に対する標準偏差の変化を評価しており、この変化が大きいほど、両者の関連性が強いことを意味します。