「成果主義」は名ばかり 人件費抑制に悪用する企業がゾロゾロ
日本で1990年代に導入が始まった「成果主義」は2000年代に定着、今では8割以上の企業が導入済みといわれるが、制度はこの5、6年で様変わりした。社員は業績を上げても報われないどころか、会社は社員の昇給を阻む“防波堤”として制度を使っている。
あるビジネス専門誌の最近の調査では、7割が「成果主義導入は失敗だった」と答えている。失敗の理由を聞くと、目立つのは「評価の妥当性」「目標設定期間が短すぎる」「個人重視でチームワークが悪化」などもっともな声が多い。
それとは別に、専門家は違う見方をする。人事ジャーナリストの溝上憲文氏がこう言う。
「成果主義を導入する企業のほとんどは、それまでの年功賃金制度で主流だった〈職能給〉から、仕事の中身を重視する〈役割・職務給〉(以下、役割給)にシフトしました。役割に応じて支払われるのですから、社員のやる気を喚起する合理的な制度のように見えた。でも、今や〈役割給〉は、企業が現在も大量に抱えるバブル社員の人件費を抑えるための方便になりかわっているのです」