著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

がん化学治療法は化学物質が持つ毒性を利用してがん細胞の増殖を抑える

公開日: 更新日:

 がんの根治的治療の基本は外科治療、つまり手術です。手術によってがん細胞をすべて取り除くことができれば、それで完治ということになります。

 ただ、白血病や悪性リンパ腫などの血液がんについては手術で取り除くことができません。また、固形がんであっても転移が認められる場合は、手術で原発巣を取り除いたとしても血液中やリンパの中にがん細胞が存在しているため、手術での根治はできないということになります。そういった場合に選択されるのが薬物治療、いわゆる「がん化学療法」と呼ばれるものです。

 なぜ、化学療法というのかというと、特定の化学物質が持つ「毒性=効果」を利用してがん細胞の増殖を抑制し、「排除すること=治療」を目的としているためです。ちなみに、化学療法というのはもともと細菌感染症の薬物療法として始まりました。今では多くの場合でがん化学療法と認識されているという背景もありますが、医療で「化学療法」というと、細菌感染症とがんに対する薬物療法のことを意味します。

 がん化学療法の起源は意外なところにあります。第1次世界大戦や第2次世界大戦で使用された化学兵器であるマスタードガスを浴びた兵士の血液中の白血球が極めて少なくなっていたことがきっかけとなり、その後、その成分が白血病のがん細胞に対しても効果を発揮することが明らかになりました。こういった成分は、現在でもがん化学療法のクスリとして使われています。

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