負担をかけていた“犯人”は私でした…映画監督の太田隆文さん脳梗塞を語る

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太田隆文さん(映画監督/64歳)=脳梗塞

 親戚や知人に脳梗塞の経験者がいる人は多いと思います。でも、それがどんな病気かを知っている人は少ないんじゃないかな。私自身がそうだったので、人生で最もつらい月日を送ることになりました。だから、その経験を映画にすることで、同じ思いをする人が少しでも減ればいいなと思ったんです。

 始まりは、2022年に激しい咳で夜も眠れなくなったことです。秋ごろに総合病院を受診すると「ぜんそく」と診断されて、吸引薬を処方されました。でも、結果としてこれが違ったのです。

 改善しないまま3カ月間、薬を使い続けた頃、忘れもしない2023年4月1日に、朝起きると目がぼやけてほとんど何も見えない状態になりました。でもすぐに病院には行かず、「疲れているんだな。寝れば治る」と思って、次の診察日まで1週間放置してしまいました。

 そして診察の日、「疲れて目が見えなくなることなんてありません!」と一喝され、すぐにあれこれ検査されました。すると「脳梗塞で脳が死んでいる」と言われ、さらに心臓の機能が20%まで下がっていることが判明しました。

 つまり、心臓機能が低下したことによって血流が悪くなり、脳梗塞を引き起こしたとのことでした。

 脳梗塞というと、急にろれつが回らなくなって手足が動かなくなる……といったイメージですが、私の場合は、脳の「書くこと」「読むこと」をつかさどる部分の血管が詰まって死んでしまったようです。目も心臓機能低下の影響を受けたと思われます。もし、目の異常から2日以内で受診していれば視覚は戻った可能性が高いそうですが、1週間放置してしまったことで、今は両目とも半分失明……視野の右側が見えません。

 脳梗塞の原因は心臓機能の低下で、治療はまず心臓を調べることから始まりました。すると、大事な3本の冠動脈がすべて詰まりかけていることがわかりました。でも、手術するには心臓が弱り過ぎているので半年間、薬を飲んで、心臓にたまっている水を抜いてから手術をすることになりました。

「話す脳」は死んでいなかったのに、脳は一部でも損傷すると、他の部分の機能も低下するんです。話すことが難しい状態であることもわかりました。というのも、1人暮らしで人と会話しないため、話せないことに気付かなかったのです。

 目が見えないので文章が読めないことにも無自覚でした。「読む」「書く」の脳が死んでいることが自覚できたのは、目が見えるようになってからです。日本語なのに何が書いてあるのかわかりませんでした。

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